休暇を終えた僕に日常が戻ってきた
我が家の周囲を巡る木立ちから、蝉の声が絶え間なく聞こえてくる
おや?変わった蝉の声がするぞ? と思う間もなく執事長の坂崎が僕の執務室に入ってきた
「旦那様おはようございます、〇〇家よりお電話でございます。なんでも例のない頼みがあるとかでございます」
久しぶりに聞いた我が家の馬鹿でかい純金製の電話のベルの音だったのか・・・
そんなことを思いながら二人掛りで支える受話器に向かう
おめでたいことではあるが結婚式にはリスクも存在する
某王家より今回依頼されたのは結婚式の完璧なシミュレーションであった
我が家には僕が趣味で作り上げたスーパーコンピューター「那由多」があり、その性能は現在世界一と言われているアレの1000倍程度の計算速度を誇っている
我が家の敷地の地下に作った実験施設に連絡をし、天候気温出席者名簿、個人の詳細なデーター から占星術、
高島易などありとあらゆる要素を取り入れてシミュレートするように指示をした
その結果、大変興味深いスピーチをする人物が特定され、またその内容が非常にショッキングだったので紹介しよう
「A君(新郎)B子様(新婦)、本日はおめでとう!二人の共通の友人としてお祝いのスピーチをとの大役を頂き、大変ききき、緊張しています(ひきつった笑い確率92.8%)
A君とは小学校からの親友であり、小さい頃から常に一緒に遊んでいた仲でありまして、え、中学に入学した頃からは特にそのぉ、し、親密な仲になりまして 思春期にお互いソノ気があるという、幸運な・・・あっ!
べ、別にホモというわけではなく、まぁそれは何度かありましたが、ま、それがつい最近まで続いてたわけでありまして・・・
そ、そんな僕たちの間にB子さんが現れて、僕はそのぅ、B子さんに対して恋敵というか、そんな感情は無かったのですが、A君と付き合うのをやめてほしいとお願いに行ったのですが・・・
まぁそこでB子さんと知り合いまして、そ、そのぅ、そこであんなことをしてしまったわけですが、
あっ! 女性としたのは僕はB子さんが初めてでありまして、ななるほど、これはA君が夢中になるのも仕方ないと諦めたのですが、つつつまり、大変床上手な女性・・・いやいやいや、えー(ゴホン)
これ以上お話をしますと、もっと悪いことを口走りそうで・・・あっ!いや、これ以上悪いことは無いのでありまして・・・・・」
この人物のスピーチは阻止しなければならないだろう
結果を伝えた時の先方の反応を思いやりながら、僕は坂崎に声を掛け、完璧なシミュレート内容を伝えるべく
再度馬鹿でかい純金製の電話に向かった
追記 スパコン那由多GJ!である