おさないころ、ぼくは切手を集めるのが好きでした。
こども雑誌の広告に出ていた外国の切手がとても魅力的に見えたからです。
東京のお店にお金を送って、さまざまな切手を取り寄せました。
父母も、貧しいながらぼくの趣味に付き合ってくれたんです。
だから、「音楽教育を受けさせてもらえなかった」なんて不満を言っちゃいけないね。
母から、集めた切手のストックブックが三冊送られてきました。
「ここに置いておくものじゃないと思ったから、これだけは送りたいとずっと思っていた」とのこと。
黄ばんだページをめくると、そこには美しい切手がずらり!
その余白に、きたない子供の字で「ミッキーマウス」「動物の切手」「きかんしゃ」「うちゅう」「サッカー選手」「魚の切手」などと書いてあります。
眺めているうちに涙が出てきた。
懐かしくてしかたがありませんでした。
いや、忘れていたものを今見せつけられたというべきか・・・
ぼくははこの切手を手放そうと思います。
お金が欲しいわけじゃない。
保存状態もいいとは言えないから、二束三文でしょう。
でも、こういうものは、本当に欲しい、大切にできるひとが持っておくのが一番いいのです。
それにしても世界には美しい切手があふれている・・・

