『エスキモー』は差別用語で間違い。正しくは『イヌイット』と呼ぶ。日本人なら常識としてかなりの人が知っていると思います。
エスキモーとは北方の氷雪地帯に住む先住民族の総称で、複数の民族で構成されています。本来は「かんじきの網を編む」という意味だったのですが「生肉を食べる者」と間違って解釈されてこちらの方が有名になってしまいました。
そしてイヌイットはカナダとグリーンランドに住むエスキモーの一民族です。
カナダにおいてはカナダに住まうエスキモー(イヌイット)に対して、野蛮人としての侮蔑をこめて「エスキモー」と呼び、差別されてきました。カナダでも40年前くらいに「エスキモー」は差別用語として禁止用語になり、カナダのエスキモーを「イヌイット」と呼ばないといけない事になりました。
日本のマスコミもそのカナダの例にならい『エスキモー』は差別用語扱いになります。代わりに『イヌイット』を使おうという運動が展開され、そのあおりを受けて教科書にも「エスキモー」という記述が消えて『イヌイット』と表記されるようになります。
ここで問題なのが日本では単純にエスキモーという単語をイヌイットに置き換えてしまった事です。
イヌイットはあくまでエスキモー全体のうちの一民族にすぎずエスキモー=イヌイットとするのは正しくありません。カナダ以外にもアラスカなどにエスキモーは住んでいて、イヌイットとは別民族です。
「たとえ用法が間違っていても不快に思う人がいるなら規制するべき」という考え方もありますが・・・
ところが、イヌイット以外のエスキモーは「エスキモー」という呼称を、「生肉を食べる者」としての文化を、誇りを持って自称しています。カナダと違い、アラスカではまったく差別語ではなくて公用語です。(エスキモーをイヌイットと呼んでるのは世界で日本とカナダくらいという説もあります。)
「エスキモー」という単語の規制は彼らの誇りを蔑ろにする危険性もあるんです。
簡単に言えばイヌイットに対してエスキモーと呼ぶのは差別用語になるがそれ以外のエスキモーに対しては差別用語にならない。北方先住民の総称としてエスキモーと呼ぶのは正しい。総称としてイヌイットと呼ぶのは間違い。ということです。