さっきまで熱いお湯に浸かっていて、昔の銭湯通いのことを思い出しました。
私が熱いお湯が好きになったのは、東京の下町に住んでからです。
江戸っ子爺さんは、とにかく熱いのがお好き。
うめようものなら、どやされる。
我慢して我慢して、体を真っ赤にして、
「今日の湯はぬるかったなぁ」とやせ我慢する毎日でした。
中野区に引っ越しして、湯がぬるいのにびっくりしました。
ぬるい方、熱い方と湯船が2つあるのですが、熱い方でも顔をひん曲げて、歯を食いしばるほどじゃない。
我慢に耐えた者には寂しいのです。
ある日、徹夜あけに昼まで寝て、一番風呂に行きました。
ん~、たまらん熱い!
番台のいかにも北陸出身らしいおっちゃんが、
「兄ちゃんは、熱いの好きだから、この時間がいいよ」と言っていた。
一番風呂はファンがいるものです。
近所の暇そうな爺さんたちが先を争うように駆け込むのです。
「おっ!兄ちゃん、若いくせに小結か?」
なんのことやら。
「その場所は小結の席。俺の席が横綱。がっはっはっは。
精進しなさい」
席なんてどこも同じやろ、とはさすがに言えん。
その次、行くと、
「兄ちゃん、番付落ちたなぁ。頑張らな十両に落ちるぞ!」と来る。
「この世界は厳しいからなあ。俺も横綱になるのに5年もかかった。兄ちゃんは有望だから俺の横綱のうちに大関までは昇進しなさい」
暇な者には暇な者同士の世界があるものです。
その後、私は横綱の席へと数度座ったのですが、まだまだ張出だね、としか認めてもらえませんでした。
銭湯は好きでした。
貧しい学生時代は風呂付の部屋は借りられなかった。
就職しても、2週間は缶詰状態だったので、一番風呂に行きました。
もちろん狙うのは横綱です。
小さなコミュニティー。
でも、ライバルがいると、こんなくだらんことでも楽しく通えるものです。
このMILUの世界、私にはライバルがいません。
なるほど、私がいつまでも成長せんわけですね。