受験ていうのは平等で、点数の良し悪しのみ。一切の因果が絡まぬところで悪人とて救われます。
そして悪がはびこる温床だったりもするのです。
受験日当日、私はある宗教団体のオルグに掴まり、腕を引っ張られたりして揉めた挙句、少し遅刻して会場へと入りました。
ひもじいものだからパンをかじり、牛乳をずずずとしながら答案を書いていったのです。おかげで試験官の注目の的だったので、カンニングしたい人にはいくらか役に立ってやれたかと思います。
昼が過ぎ、最後の試験前、騒動がありました。
すっ転んだのだのでしょう。大量の紙コップのジュースをこぼし、かぶった人もいれば机もベタベタ。
大勢の友と連れ立って来たんだろな、とその時は思いました。
入学して6月のこと。
食堂で、見知らぬスキンヘッドが気安く声をかけてきました。
「ずっと探してたんだよ。あの会場で合格したのは俺ら二人だけだよ」
と言われて、当時の出来事が甦ってきました。
この先は、読めば後悔します。
私もエンターテイナーじゃない、むしろ退廃思想の純文学系ではあるけども、このスキンだけは信じられなかった。
「みんな他の学校に行ったんちゃうの?100人以上は会場におったはずやで」
「いや、俺、合格発表見に行ったもん」
「ほな、君の友達も落ちたんやね。残念やね~」
「友達なんかいないよ」
「ようさんジュース運んでたがな」
「またまた気づいてるくせにー。実際、ちゃんと受かっているというのが証拠でしょ!」
「・・・・・・???」
「あれわざとでしょ。パンかじりながら受験している人はじめて見たよ。あれで周辺30人は落としたよね」
「えっ!ちょと待てー!!ほな、ジュース騒ぎもわざとやったんかい」
「師匠のおかげです。より確実に潰すためにね」
こんなことを目立つ男が大きな声でしゃあしゃあと喋るものだから、周りからの渾身の白い目が突き刺さります。
こりゃ、俺まで悪者にされてしまう、
「アホー!俺、動揺して復習も手につかんかったんやで!!」
「いやー、俺にとっては人生で初めて師匠に出会えたと思ったよー。さらりとえぐいことするねー。発想が物凄いわ」
万事休す。これ以上、言い訳しても、ますます調子に乗って悪の親玉にされてしまう。
この学校では女子の友達はできないな、と確信した18歳の終わりです。
ちなみに、スキンヘッドは法学部も受かり、私とは学部は違います。そして、「卑怯なこと大好き」の精神は継続し、次から次へと問題を起こします。
高校生相手の喧嘩に真剣まで抜いたこともある。
その男が、今では弁護士です。
国家試験、もうちょっと面接を重視してもいいんじゃないかと思うんですけど・・・・・。