私のことです。不本意ながら私のことです。
12月にもなると焦ってか、さびしいさびしいと悶える若手がいました。合コンにまめに通うも成就の兆しなし。
そこで心優しい私がひと肌脱いだというわけです。面倒なことは嫌いですが、そのときはとにかく笑いがほしかったの。
「いや、やめてくださいよ~」と遠慮したのですが、
「おばかさん。私は浮浪者時代、なんども女子にたべさせてもらってるの。女性心理はまかせなさい」
「それ、野良猫が餌もらう努力じゃないですか~。だいたい、今もおばちゃんともめてばっかりじゃないですか」と失礼なことを言いよります。
「野良は食い逃げだけど、君は飼ってもらったらええでしょう。スタートも過程も同じ。終点を変えればいいんです」
「怪しいなぁ」
「それで、誰が気になるの?まさか、ここのおばちゃんの中におるんか?」
「ローソンにかわいい子がいるんです」
「よっしゃ、今から行って、うちの若いもんが寝ても覚めても君のことを、と先制してくるわ」というやいなや、必死で
「やめてください」と泣きそうになって止めてきます。
しょうがないから、正攻法の作戦を伝授した次第です。
「なんにも持たずにレジに行って、手を差し出す。それで、あっためてください、あなたの胸で、と言いなさい」
「できるわけないじゃないですかー!!」と怒ります。
「ほんまに、いい加減なことばっかり。大丈夫か?」とまで言われました。軟弱な奴です。
「俺なんか、若いころは、500円を1円玉ばっかりで払って顔覚えてもろたぞ。それからマブやがな。まずは印象付けること」やったことないけど。
面倒くさいから、手本をみせてやりました。
日本酒を持って、「寒いですね~」と寄っていき、
「手を出して」
びっくりしながらも手を差し出してきました。小さな手をそっと包み込み、
そして、「私のお酒もあっためて」
朗らかなものです。
外へ出ると、若者が感動で痺れています。
「ええ子ですねぇ。しばかれる思ってひやひやしたのに・・・」
勇気をもったのか、思い込みが激しいのか、ほんまに行ってしまいました。
すでに私には酒の味は感じず、あふれ出る笑いでいっぱいです。
そして、店員のドン引きした表情が五臓六腑に沁み渡るのです。彼の無謀な行動に悶絶死させられるとこでした。苦しかった。
「相手にしてくれなかったけど、大丈夫ですかねぇ」と、こいつあの顔見ても気づいてない。
「うん、絶対に顔は覚えてくれたから。いや一生、忘れへんと思うよ。あとはこまめに通ううちに交流が深まるよ。女子はじっくりと優しさを与えてくれるもんやから」
いっかんの終わりと確信していたのです。
あの後、ストーカーに間違われたらやばいので念のために少しだけフォローはしておきましたけど、先週のこと
「どうなるかと思ったけど、クリスマスが楽しみです」と感謝されるのです。無様にフラれたらいいのに。
なんだか、おもろい兄ちゃんとして、店員さんの友達からも人気になっているとか。フラれたらいいのに。
恋愛成就とまではいかないながらも、クリスマスはお互いの友達と過ごすことになったとか。エロいことしてフラれていたらいいのに。今日は会社休んだので未確認。
「グラさんにも今度紹介しますね」
知っとるわい!!
感謝なんかいらんんねん。フラれてないたらいいのに。
自分の仕掛けた罠に自分で嵌った気分で後味が悪い、というお話。
イベント頑張って、気分一新が必要みたい。