朝から男が二人がかりで大事そうに何やら運んでいました。そろ~りそろり。気になるので軽く突き飛ばすと、必死で物をかばうのです。
私は知らなかったのですけど、絵を移動させているところでした。こんな会社に絵を置いてあったことすら知らなかった。
どうせ複製画に間違いないでしょうけど、多くはヒロヤマガタの絵でした。
絵画の趣味は人それぞれで、私なんかではヒロヤマガタの価値は全く分かりません。バブルの頃に物凄い人気でよく目にしたことはありますが。
バブルの頃と言えば、クリムトも急激に人気が出た画家でした。キンキラの輝きが成金趣味に合ったのか、18世紀末の退廃美が、おそらく解釈を広げてもてはやされたのだと感じました。
実はクリムトも私はよく分からなかったのです。
むしろ、弟子のシーレの方にこそ興味があったわけです。
でも一番感動した絵というのが、クリムトだったりするんです。
私は画家じゃないので、絵に対して特別なこだわりはありません。ミロの色彩美は大好きでも、心揺さぶられるほどの思いを感じたことはありません。
日本を離れて約5か月。シェーンブルンで見たクリムトは震えました。
襖絵やんか!
日本の屏風絵や襖絵を思い出し、勝手な解釈の中に浸ったのです。
私のような者に、いかに高価な物を見せても所詮はこんなもん。絵に宿る奥深さなんか知ったこっちゃない。
もしかしたら、画家の意思とは裏腹にヒロヤマガタの良さに気づくことがあるやもしれません。
好きとか嫌いとかこんなもんかもしれませんねぇ。案外、勘違いの中にも克服する道しるべがあるのかもしれません。