堅苦しい話で長文になりますが、前から思うことですので、よければ。
近年、女性の地位が上がってきた。
勿論不完全ではあるが上がって来ていると思う。
男女平等にする為の努力はしていると思う。
しかし、肝心要なことを忘れていると思う。
最も重大なやるべきことを、やっていない。
それは「男社会を完膚なきまでぶっ壊す」こと。
男社会という言葉は中立性がない上に、勘違いを生みやすいので嫌いだけど、なんだかんだで形骸化して残ってしまった。
さて、女性の地位が上がった、しかし男社会は残った。
この矛盾が意味することはこういうこと。
「女性が人間として一人前の地位を得られる世の中でなくてはならない。しかしながら、男性は従前どおり女性よりも上位でなくてはならないので、それ以上の力を『持たねばならない』」
ということ。
さて、これは男性にとっての大きな負担だ。
昔は女性が地位が低かったし、時代も違っていたから、男性にとっての男性優位な社会は負担ではなく、名実共に男社会だった。
しかし、現在は女性の地位が上がった状態で、なおかつ価値観も多様化している。
その状態でそれ以上の地位を維持する必要があるというのは、大きな負担だ。
ここが先に「勘違いを生みやすい」と述べたところ。
男社会と言うと、あたかも男性が得をしている社会、と間違える人が少なくないからだ。
実際、一部の女性や一部のフェミニストが、形骸化した男社会によって助成が不利益を被ると「男社会」ではなくて「男がどうたらこうたら」と男性全体を批判して論点のすり替えをすることがある。
それはミサンドリーと言って、男性嫌悪というものだ。
現在の男社会は、必ずしも男性に利益をもたらさず、むしろ重荷にしかならない。
だから男社会の矛先を男性全体に持っていくのは大間違いだと思う。
例えば、女性にばかり家事や育児を押し付けず、男性も参加せよ。
これは男女平等の観点から正しいことだと思う。
しかし、男性がこれまで通り、女性以上に外で働いてお金を稼いだ上に、家事や育児にも参加しなさい。
これは、男性に更なる重労働を求めるということだ。
現在、ブラック企業とかで問題になっているけど、そうやって散々働いて「従前どおり女性以上に働いて収入を得た」上で、更に家事や育児も、というのは無茶な話である。
男性の過労死を女性の地位向上が後押ししてしまう形になっている。
じゃあ正解はどうするべきかというと、ここで「男社会」をぶっ壊し、男性の労働時間を減らせばいい。
女性以上にお金を稼ぐ、女性以上に働く、という固定観念を潰せばいい。
そうすれば男性だって育児や家事にも時間が割けるし、女性にばかり家事や育児を押し付ける社会にもならない。
更にここで問題となるのは、「弱者男性」の問題と「男性差別」の問題。
江戸時代に存在した、えた、ひにん、といった賤民が復活しているのかと感じてしまう。
要は、社会の中には建前上存在しないことになっている、しかし実際は社会の外という形で存在する。という点である。
共産主義の国家で、共産主義・平等と言われつつも、実際は社会の外にいる人間が多数存在し、実際は資本主義の国家よりも貧富の差が激しくて、またそういう社会の外にいる人間は建前上いないことになっているのにも似ている。
そうなると、こういうことになる。
・男社会ゆえに男性の方が地位が上なんだから、弱者男性というものはそもそも「社会の中に」は存在しない。男性差別と称されるものも男性が地位が上なんだし、女性の地位を上げるためには我慢しろ
・男社会の枠組みに入れない、女性より上の地位という「ノルマ」を果たせない男性は男性じゃない、勿論子供が生めるわけでもないので女性でもない、男性でも女性でもないということは人間ではない。だから人権も要らない。社会の外に押しやれ
・実際に弱者男性を目にしても、あれは男性だから実は弱者でないに決まっている。だから助けなくて良い。助けるときのリスクも女性より多いかもしれないから放置しろ
という人権無視が起きてしまうことになる、というか起きている。
レディースデーも女性専用なんたらも、男性の方が地位が上なのだから、お給料も(きっと)高いから仕方ない、男性はいっぱい払いなさい。女性は給料が少ないんだから、社会的地位も低いんだから、男性は我慢しろ。
実際に男社会にうまく迎合できている男性にしてみれば、それをストレスと感じない男性にしてみれば、一理あるかも知れないが、そうでないところを完全に無視している、社会の外には目が向いていないと思う。
ただただこういうのは男性差別だと思う。
正直言って、女性の地位が上がるためには男社会は不要だし男性にもストレスを与えるだけ。
で、この男社会のストレスに晒された男性の中には「ミソジニー(女性嫌悪)」という物になり、女性にも迷惑を掛ける。
女性は(弱者とみなされているので)得をしていると感じるからだ。
また、この男社会と言うのが形骸化しつつも残っていることで、女性側にも「ミサンドリー(男性嫌悪)」が起きる。
勿論、いずれも的外れな憎しみではあるが、なぜか起きてしまうので仕方ない。
そしてこれらが悪循環を起こし、更に憎しみが増大し、男女共に異性不信が発生する。
結果、草食化も進み、晩婚化も進み、少子化も加速する。
また、男社会があるということで、女性の地位が下だと再び言われ、更に女性の地位が上げられようとする。
しかし、肝心の男社会を潰していないことから、男性は更に上の地位という、偽のレッテルを貼られてしまう。
そうなるともうキリが無い。
男社会というのは女性のみならず男性にとっても不利益がいっぱい。
人類にとっても不利益がいっぱい。
なぜこんな物が残っているのでしょうかね?
女性の地位を上げるなら、まずぶち壊すべきものは男社会だったと思います。
正直男社会なんてぶち壊したいです。
僕は男性なんでしょうけど、男社会要りません。
女性の地位を上げよ、その上で男性はその上にいなくてはならない。
これは矛盾以外の何でもありません。