空に浮かぶ雲。
様々な種類の雲があるが、雲が発生する瞬間を見た人は、はたして
どれくらいいるのだろうか。
たぶん、大方の人は見たことがないと思う。
実は、その希少な経験をしたことがある。
もうだいぶ前だが、桜満開の新宿御苑の芝生に寝転がって、
上空を眺めていた時、その瞬間を目撃した。
青空にぽっかり浮かぶ白い雲のすぐ横の空間に、”ふゎっ”と
綿飴みたいなちっちゃな雲が生まれたのだ。雲の赤ちゃんである。
暫くするとみるみる大きくなって流れていった。
生まれて初めて目にする光景に思わず息を呑んだ。
なるほど、こうして雲は出来るのかと感心した。
恐らく地球上の人類の99%は、雲誕生の瞬間を見てないのではないか。
その体験以来、注意して空を眺めているのだが、2回目の目撃は無い。
たぶん、自分としても一生に一度の経験だと思う。
雲の発生メカニズムそのものは知らないけれど、死ぬまでにもう一度は
見たいと願っている。