今日の我が国では少子高齢化と人口減により限界集落の急増が各地で深刻な問題を引き起こしているが、それに伴って地域の共同体的意識も次第に希薄化しつつあり、祭りなどの地域行事、伝承、伝統の引き継ぎもままならず、消滅の危機にあるところが少なくない。
その中にあって、凶暴な猫を恐れて村外からの訪問者も少なく、また村外への移動も立地上困難であり、その閉鎖的環境ゆえに比較的純粋に古くからの生活様式が維持されてきている村がアララギ村である。
しかし、この村にも近年近代化の波が押し寄せ、変容を余儀なくさせている。古老の生存中に急遽現地に赴き聞き取り、実地調査を行った所以である。
学術的部分はここでは割愛することとし、諸兄諸姉の関心を得られそうな調査結果のみを紹介していくことにしたい。
なお、調査に当たっては村の長老たるアララギ婆様から多大の協力を得られたことに謝意を表する。
調査結果1 トイレに見られる完全リサイクル社会の実現
人糞を下肥として畑に撒くことはかつては全国で普通に見られたことであるが、アララギ村ではトイレの下を2メートル以上掘り下げて豚を飼っている家がある。人糞を豚の飼料にして、豚の糞尿を畑の肥料にしている。台所から出る生ごみも豚の飼料として利用されている。豚はもちろん食用に飼われているものであるが、資源の有効活用と、完全リサイクルの体現例でもある。
豚を飼っていない家では、畑に穴を掘って板を2枚わたして、周囲をむしろで囲ってある、というのもある。いっぱいになれば、土をかぶせて、別のところに穴を掘ってトイレにするというものでもちろん人糞は100%畑の肥料になる。
水洗式トイレといわれるものもあったが、谷川の水を水車でくみ上げて細い溝を作ったもので、その溝をまたいで用を足す方式である。その溝はため池につながっており、そのため池には丸々と太った魚が育ち、貴重な食料源として利用されていると同時に池にはジュンサイ、菱なども育ち、いずれも食用になる。
トイレットペーパーなるものは、基本的にはない。買わなくても自然から手に入ったり家庭で作れるものが利用されている。
例1:藁縄 これは天井に滑車もしくは梁に縄の両端を結んで作られた輪っかがぶら下げられているもので、少しずつ回して乾いているところを使うものであるが、回すたびに乾いた黄色い粉が上から落ちてきて、それが難点らしい。
例2:植物の葉っぱ 柏とか朴のような大きい葉っぱがよく用いられる。ただし、枯れると固くて割れやすいことから、夏場限定とのことであった。秋、冬は藁縄が用いられるのが一般的とのことであった。なおアララギ婆様の体験から言うと蕗の葉っぱが一番使い勝手がいいということであった。
例3: 竹箆(へら) 青森の姫も常用してるとかで、アララギ村にもあると予想して実地調査を行う予定であったが、今回時間切れで未確認。
to be continued