長文を苦手とする向きが多いみたいなので、多少体裁を改めて、表題も簡潔にした。
アララギ村では基本的に自給自足が原則であり、わずかであるが水稲栽培もおこなわれている。しかし、村内では産出しない塩、鉄器等との交換用に供されており、村民が口にすることはほとんどない。
主食は粟、稗、黍のほか焼畑の跡地で栽培されている蕎麦、橡、栗、どんぐりのほかおおうばゆりの根茎も食されている。
橡の実、どんぐりは天日でよく乾かした後、臼で挽いて粉にしたものを何度も水にさらして灰汁を抜いたものを団子、餅にして食されている。
山菜、野草も豊富にあり、わらび、ぜんまいなどは草木灰と熱湯であく抜きした後、天日で乾燥させて保存されるほか、根曲竹のタケノコ、蕗、ウド、キノコ類も塩漬けされて長期保存されている。ほかにも、セリ、なずな、あさつき、のびる、ヨモギ、カラスムギ、カラスノエンドウなどの野草も食用に供されている。
柿は渋柿であり、吊るし柿にされ、貴重な甘味料として料理にも利用されている。桃や杏の種も割って中の核を取り出して天日乾燥させて臼で挽き食用にしている。杏仁粉、アーモンドパウダーがここでは数百年の歴史をもっており、現在でも自家生産されている。
鶏も放し飼いで飼われているが、馬、牛はおらず、主たる動物性蛋白源は家畜である豚、鶏のほか、川魚、猪、鹿、うさぎ、たぬき、蛇、かえる、トカゲ、いなご、セミの幼虫、蜂の子、山蚕の蛹など、種類も豊富である。
畑で栽培される植物は、サツマイモや里芋等のイモ類のほかホウレンソウ、ハクサイなどの葉物野菜、なすびや胡瓜、豆などの実物野菜、さらには人参大根ごぼうなどの根菜類と多様である。
なかでも特筆されるべきは、この村でしか栽培されていないというアララギ大根であろう。太くて短く肌がピンクというアララギ婆様の足そっくりの外観であるが、この村でしか栽培されていないという珍しさを強調して村おこしの起爆剤にしたいという村役場の思惑があるようである。
総じて食事は質素であるが、食材は意外に豊かである。
しかし、この村の食事にも外部の商品経済の波が押し寄せてきており、昼食に手打ちのうまい蕎麦を所望したところ、もっとうまいものがあるから待ってろ、と言われた。3分待って出されたものは、日清のチキンラーメンであった。。嗚呼