ネットを徘徊していて見つけたお題をもとに・・・
とある世界の、とある国のお城のお庭に、四季を司る女王が住まう塔がございました。
とある世界の、とある国のお城に生まれたお姫様は、季節の移り変わりと共に塔を移動して住まわれ、季節の女王様として暮らしておりました。
色とりどりの花の色の春の塔に住むと、春の女王。真っ青な空の色の夏の塔に住むと、夏の女王。目にも鮮やかな紅葉の色の秋の塔に住むと、秋の女王。そして、何者にも侵されない白亜の冬の塔に住むと、冬の女王。
ところがある年の冬、お姫様は冬の塔から出てこられなかったのです。どんなに言葉を尽くして説得しても、冬の塔から一歩も出なくなったお姫様に困った王様は、国中にお触れを出しました。
【お姫様を冬の塔から出し、春の塔へ移らせた者には、褒美としてなんでも望みの物を遣わす】
何人もの人間が、お姫様を冬の塔から連れ出そうと躍起になりました。
世界中の理を知り尽くした賢者、灼熱の焔を吐く竜を倒した勇者、どんな病をも癒す力を持った僧侶、本気の一撃を放ったら星さえも砕く力を持った武闘家、地震雷火事親父よりも怖ろしいおかん、どんな人が訪れても、お姫様は冬の塔から出てくることはありませんでした。
長く続く冬の日々。吐いた息も凍り付きそうな空気の中、この国は冬のまま凍り付いてしまうのではないかと国中が諦めかけたその時。一匹のペンギンが立ち上がりました。
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愛らしい瞳。ほんのりと赤くなった、まんまるのほっぺ。ぷりぷりのおちり。ふかふかの毛並み。
多くのキュートポイントを武器に、ぺんぎんはお姫様に対してアピールを続けました。

ねぇお姫様、どうして冬の塔から出てこないの?
春はこんなに暖かいよ。
春はこんなにかわいらしいよ。
かわいい僕と一緒に、春を楽しもうよ。
お姫様も、人の子ですもの。女の子ですもの。かわいいもの、ふかふかなものが大好きです。
「まぁペンギンさん!貴方は私と一緒にいてくださるの?いつまでも一緒にいてくださるの?」
ペンギンの愛らしさに騙され、お姫様は冬の塔から一歩踏み出しました。
「僕と一緒に、春の美しさを楽しもうよ」
お姫様が春の塔へ入った瞬間に冬は終わり、力を蓄えていた新芽が芽吹き、一気に国中の春が咲き誇りました。

東京は桜の開花宣言が出ましたッ!!!
花粉症真っ盛りだけど、春だー!!早く暖かくなれーっ♪