わたしが、わたしであると意識したのは、雪の中。
黒い水玉模様のついた真っ赤な飾りを背中につけて、ふわふわの真っ白い雪に囲まれた洞窟みたいなところで、ぼんやりと夢を見ていたの。
これより前は、どうだったっけ?もぞもぞ動いていたと思ったら、世界がぱーっと開けて、背中の飾りが鮮やかな色になって、赤や黄色、茶色に彩られた世界にいた・・・ような気がする。
ふんわり優しい、真っ白い世界の中、こわいことなんか何もなかった。ずっとこのまま続くと思ってた。
ぼんやりと過ごしていたら、いきなりまぶしい光が世界を覆って、わたしは思わずぎゅっと目をつぶった。熱くも、痛くも、なんともなかったのだけど。
まわりが静かだから、恐る恐る目をあけたら、目の前にちいちゃな女の子と、黒いねこちゃんがいた。ねこ!?たいへんだ!食べられちゃう!
「こんにちは!私はメモリー!みんなの為にがんばるね♪」
えっと・・・メモリーさん・・・?メモリーおねえちゃんって呼べばいいのかな???
「失敗しても怒らないでね♥」
えっ??何を失敗するの??失敗したら怒るヒトがどこかにいるの??
「こんにちは!私はメモリー!みんなの為にがんばるね♪」
あれ?また同じことしゃべってる。
黒いねこちゃんは、その場から動かない。きっとわたしを食べたりなんかしない、大丈夫。
メモリーおねえちゃんは、なんでだろう?話し掛けても、ちゃんとした答えが返ってこないや。同じことばっかり言ってる。
なんだかさみしくなって、わたしはその場を離れたの。
周りを見回してみるといっぱいの緑色、いろんな色のお花も咲いていて、今までのふんわり真っ白い場所とは違った。わたしはどうすればいいんだろう。途方に暮れて、涙も出てきて、止まらなくて、でも誰も話しかけてくれなくて、大きな木のはしっこでしゃがみこんでしまったの。
泣きすぎたのかな?お外が真っ暗になるまで、ぜんぜん気がつかなかった。おなかすいた。。。おそるおそる木のはしっこから出ていって、わたしの周りを見回したらびっくり。

明るいときは、緑色と、いろんな色のお花しか目に入っていなかったけど、真っ白なお花だ。きれいな蝶々さんもいっぱいいる。
わたしが前にいたところと一緒の、ふわふわで優しくて真っ白いものがあるんだから、きっとここもいいところのはず。おなかがすいたら、お花の近くにいって食べ物をみつけて、眠くなったら白いお花の近くで眠って、お花の上を飛んでる蝶々さんたちともお友達になって、きっと大丈夫。
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すっごいどうでもいい話。てんとうむしって越冬するのは知ってたんだけど、何を食べるのか知らなくて調べたら、奴らアブラムシ食べるのね・・・知らなかった。絶対飼えない!!!!!!!!まぁ、飼わないけど。