菅義偉首相は21日、新型コロナウイルス感染症対策本部を官邸で開催し、観光支援事業「Go To トラベル」の運用見直しを表明した。感染拡大地域を目的地とする旅行の新規予約を一時停止する措置を導入。飲食業界の支援策「Go To イート」を巡り、食事券の新規発行停止などの検討を都道府県知事に要請するとした。国内で21日に確認された新規感染者は4日連続で2千人を超えた。経済再生を優先してきた首相は方針転換を迫られた格好だ。
GoToトラベルの新規予約を一時停止する地域について、西村康稔経済再生担当相は記者会見で「都道府県知事と感染状況や病床の状況などを分析し、緊密に連携していきたい」と述べた。ただ具体的な見直し時期や対象地域には言及しなかった。21日からの3連休は始まっており、野党は、判断が遅いとして首相の姿勢を追及する考えを示した。
首相は対策本部で「さらに強い対策を講じる事態を回避するため、国民の協力が不可欠だ」と呼び掛けた。新型コロナの感染状況に関し「最大限の警戒状況が続いている」と指摘。政府の対策分科会が20日、医療への負荷を過大にしないための取り組みを提言したことを踏まえ「効果的な対策を迅速に実行する」と強調した。
その後、官邸で記者団に、新型コロナの感染を調べる検査に関し、高齢者の医療施設や介護施設で集中的に国費で実施すると説明。国民に対し、会食時を含めたマスクの着用や手洗い、3密(密閉、密集、密接)の回避といった基本的な感染対策の徹底を求めた。
首相は対策本部に先立ち赤羽一嘉国土交通相、西村氏と官邸で会談した。