ブルーベリー
(英: blueberry)は、ツツジ科スノキ属シアノコカス節に分類される北アメリカ原産の低木果樹の総称である。落葉または半常緑性であり、寒い地方では冬季に葉を落とすが、温暖な地では葉が残る。葉は紅葉して美しい。
栽培品種の成木の樹高は1.5-3m。春に白またはピンク色のドウダンツツジに似た釣鐘状の花を咲かせ、花後に0.5-1.5cmほどの青紫色の小果実が生る。北米大陸でのみ栽培される野生種に近い品種は数十cm程度の低木である。果実は北アメリカでは古くから食用とされてきたが、20世紀に入り果樹としての品種改良が進み、ハイブッシュ系、ラビットアイ系、ハーフハイブッシュ系、ローブッシュ系の交配により多くの品種が作出された。詳細は後述の種と品種の節参照。
ブルーベリーは6系統(種・タイプ)あるが食用として重要なのは3系統(種・タイプ)である。細かい品種は数百種にも及ぶ。
- ハイブッシュブルーベリー系統(栽培種)
- このタイプはさらにノーザンハイブッシュ系とサザンハイブッシュ系、ハーフハイハイブッシュ系の3グループに分けられ、それぞれのグループにたくさんの品種がある。
- ラビットアイブルーベリー系統(栽培種)
- ラビットアイブルーベリーにもたくさんの栽培品種がある。このタイプは、果実が成熟する前にウサギの目のようにきれいなピンク色になることから名付けられた。
栽培においては酸性土壌で水はけが良い土質を好み、農薬を一切使わずに栽培することも可能である。乾燥に弱いが過湿にも弱く、培土の管理に注意する必要がある。(地植えであれば殆ど気を使う必要は無い)ラビットアイ系の品種は自家受粉しにくく、1本だけ植え付けても実つきが悪い傾向にある。同じラビットアイ系で別の品種を一緒に植え付けることで受粉がうまく行われるようになる。ハイブッシュ系のブルーベリーは1本でも結実する品種もあるが、同じハイブッシュ系で異なる品種を一緒に植えることで、より実付きが良く、そして大きな果実が実るようになる。ブルーベリーは挿し木で増やすのが一般的である。ブルーベリーの挿し木には、挿し木に用いる枝によって新梢を用いる「緑枝挿し(りょくしざし)」、休眠時期の枝を用いる「休眠枝挿し(きゅうみんしざし)」がある。
栽培適地はハイブッシュ系が寒冷地向き、ラビットアイ系が暖地向きとされる。また、サザンハイブッシュ系が作られ暖地でも食味のよいハイブッシュ系の栽培ができるようになった。関東地方の気候は全ての系統の栽培に好適であり、関東地方が日本国内ブルーベリーの主産地となっている。
果実は夏から秋にかけて熟し、甘酸っぱい。生食用の他、ジャムや果実酒、ジュース、菓子などに用いる。一部の品種にはアントシアニンが豊富に含まれている。
ブルーベリーやビルベリーを使用した健康食品やサプリメントが「目に良い」と謳われて広く市販されているが、国立健康・栄養研究所の論文調査では、ブルーベリーではデータが見つからず、ビルベリーではランダム化比較試験が複数存在するが、目の諸機能の改善を一貫して示してはいない。コレステロールや血圧では3つのメタ分析で効果を示していなかった。
ブルーベリーから抽出されたアントシアニンを使った72人と59人での偽薬対照クロスオーバー試験2研究では、暗順応と夜間視力の改善は見られず、光退縮後の視力の回復は早くなっていた。ビルベーリー由来のアントシアニンが、VDT作業の眼精疲労を徐々に軽減する作用を示したランダム化比較試験は7研究ある。
7つのランダム化比較試験からブルーベリーの抽出物や粉末(クランベリージュースでも)は、12週間後までに2型糖尿病の血糖制御に有益な効果が示されていた。6つのランダム化比較試験をメタアナリシスし、ブルーベリーのサプリメントは血圧への影響はなかった。
2019年のレビューでは認知機能と気分に対して冷凍ブルーベリー、まるごとのブルーベリー、濃縮物での合計11つのランダム化比較試験があり、対象とする年齢や摂取量は様々で、8つの試験で短期記憶や長期記憶、空間記憶の改善、気分の改善ありは1研究だったが4研究で影響はなかった。同じく2019年のレビューは、11件のランダム化比較試験があり、子供と健康な高齢者の記憶と実行機能、軽度認知障害の成人の精神運動に利益を示していた