夏がくううれば思い出す
それは オリンピックが 何回も行えるくらい長い年月をさかのぼった
私の中学の夏のだった
先生の声も 給食後の子守歌に聞こえて
心地よい眠りにいざなっていた 午後の最初の授業だった
ああ もうすぐ夏休みだなあ とぼんやりと 考えながら
視線を 校庭の白いサッカーゴールから
前の席の女子の背中に移したとき
今まで見えなかったものが 見えてきた
夏の制服の白いブラウスから透けて見える
2本の縦筋と 1本の太い横筋
生まれて初めて感じた 誘惑される思い
ついに 始まった
人生に 陰影がほどこされ
ものごとが 立体的に見え始めた瞬間だった
喜びも 悲しみも
その時から 始まった
あは
