ツユクサ
(露草、鴨跖草、鴨跖、学名: Commelina communis)は、ツユクサ科ツユクサ属の一年生植物。畑の隅や道端で見かけることの多い雑草である。
朝咲いた花が昼しぼむことが朝露を連想させることから「露草」と名付けられたという説がある。英名の Dayflower も「その日のうちにしぼむ花」という意味を持つ。また「鴨跖草(つゆくさ、おうせきそう)」の字があてられることもある。ツユクサは古くは「つきくさ」と呼ばれており、上述した説以外に、この「つきくさ」が転じてツユクサになったという説もある。「つきくさ」は月草とも着草とも表され、元々は花弁の青い色が「着」きやすいことから「着き草」と呼ばれていたものと言われているが、『万葉集』などの和歌集では「月草」の表記が多い。この他、その特徴的な花の形から、蛍草(ほたるぐさ)や帽子花(ぼうしばな)、花の鮮やかな青色から青花(あおばな)などの別名がある。 色が薄く、花が紫色に見えるウスイロツユクサや、紫色の花弁が3枚のムラサキツユクサ、白い花弁のトキワツユクサなどの近縁種がある。 6本の雄しべの中で、役に立つのは2本だけである。
高さは15~50cmで直立することはなく、茎は地面を這う。
6月から9月にかけて1.5 - 2cmほどの青い花をつける。花弁は3枚あり、上部の2枚は特徴的で青く大きいが、下部の1枚は白くて小さく目立たない。雌蕊が1本、雄蕊が6本で成り立っている。アサガオなどと同様、早朝に咲いた花は午後には萎む。
自生地は日本全土を含む東アジアで、アメリカ東北部などに帰化している。
ツユクサ属は世界に180種ほどがあり、日本では5種がある。そのうちでシマツユクサとホウライツユクサは九州南部以南の南西諸島に、ナンバンツユクサは南西諸島に見られる。マルバツユクサは本州の関東以西にあり、本種ににているが葉先が丸く、また花を包む包が左右合着して漏斗状になる。
花の青い色素であるコンメリニンはアントシアニン系の化合物(金属錯体型アントシアニン)で、着いても容易に退色するという性質を持つ。この性質を利用して、染め物の下絵を描くための絵具として用いられた。ただしツユクサの花は小さいため、この用途には栽培変種である大型のオオボウシバナ(アオバナ)が用いられた。オオボウシバナは観賞用としても栽培されることがある。
花の季節に全草を採って乾燥させたものは鴨跖草(おうせきそう)と呼ばれ、下痢止め、解熱などに用いる。 青い花が咲いている時期は食用にもなる。