ボケ 
(木瓜、学名: Chaenomeles speciosa)は、バラ科ボケ属の落葉低木。日本に自生するボケは、クサボケと言われる同属の植物。
果実が瓜に似ており、木になる瓜で「木瓜(もけ)」とよばれたものが「ぼけ」に転訛(てんか)したとも、「木瓜(ぼっくわ)」から「ぼけ」に転訛したとも言われる。『本草和名』(918年)には、果実の漢名を木瓜(もくか)、和名を毛介(もけ)として登場する。
学名のspeciosaは、「美しい」「華やか」、Chaenomelesは「chaino(大きく裂けた)+melon(リンゴ)」が語源だが、現実に実は裂けないので、勘違いしてつけられた属名だと思われる。中国植物名(漢名)は、貼梗海堂(ちょうきょうかいどう)。
花言葉は「先駆者」「指導者」「妖精の輝き」「平凡」。
原産地は中国大陸で、日本へは古く平安時代に渡来し、観賞用に栽培された帰化植物である。本州から四国、九州にかけて植栽、または自生。温暖地でよく育ち、北海道南部では種類が限定される。木瓜の名所としては、鎌倉市の九品寺が知られる。
落葉の低木で、樹高は1 - 2メートル (m) 。茎は叢生してよく枝分かれし、若枝は褐色の毛があり、古くなると灰黒色。樹皮は縦に浅く裂け、小枝は刺となっている。
葉は長楕円形から楕円形で互生する。葉身は長さ5 - 9センチメートル (cm) で、鋭頭でまれに鈍頭、基部はくさび形で細鋭鋸歯縁。葉の付け根に腎臓形の托葉がつく。
花は3 - 4月に葉が芽吹くよりも先に、朱色の5弁花を咲かせる。短枝の脇に数個つき、径2.5 - 3.5 cm。様々な品種があり、花色は淡紅、緋紅、白と紅の斑、白などがあり、雄性花と雌性花がある。秋に結実する果実は楕円形で、直径は約3 cmほど。果皮は黄色味を帯びて落果する。
同類種に栽培種で中国産のカリン、野生種で日本産のクサボケがある。
庭園樹としてよく利用され、添景樹として花を観賞する目的で植栽される。鉢植えにして盆栽にも用いられる。好陽性で土壌を選ばず、排水性が良く、やや乾燥地を好む。繁殖は実生、挿し木、株分けで行われる。実生は果実を割って種を取り出し、洗って床蒔きする。挿し木と株分けは、春の芽吹き前に行う。移植は容易だが、大気汚染・潮害にはさほど強くない。
果実にはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸類と果糖が含まれていて、有機酸類には制菌作用があるとされ、腸内が酸性化するほど多く内服すると、細菌は弱アルカリ性(pH7以上)で繁殖するため増殖を止める働きがあるといわれる。また、有機酸類には鉄分の吸収促進に役立つとも考えられている。
果実は木瓜(もっか)と称される生薬になり、8 - 9月ごろの落果する前の青い未熟果実を採取して、水洗い後に輪切りにしたものを天日乾燥して調製される。補血、強壮、疲労回復、咳止め、食あたりのほか、筋肉のひきつり(こむらがえり)、暑気あたりに効用があるといわれ、乾燥果実1日量5 - 10グラムを水200 - 600 ccにて半量になるまで煎じて、3回に分けて服用する用法が知られている。ただし、胃腸に熱があるときは禁忌とされる。
また、ボケ酒と呼ばれる果実酒にすることもあり、果実の2 - 3倍量のホワイトリカーまたは35度の焼酎に漬け込んで、冷暗所に半年から1年置いて作られる。果実酒にも疲労回復、滋養保険、低血圧、不眠症などの薬効があるので、就寝前に盃1杯ほど服用される。
クサボケ(草木瓜、学名:Chaenomeles japonica、英: Japanese quince)は、バラ科ボケ属の一つ。落葉低木。ボケの野生種で、和名の由来は全体に小型のため草に見立てられて名付けられた。別名でシドミ、ジナシとも呼ばれる。白花のものを白花草ボケと呼ぶ場合もある。
本州の関東地方以西、四国、九州に分布し、山野の日当たりの良い斜面などに生える。自生するボケ属は、クサボケ一種だけである。
樹高30 - 100センチメートル (cm) ほど。実や枝も小振り。葉縁に細かい鋸歯がある。
花期は4 - 5月で、しばしば葉よりも早く開花する。花の直径が25ミリメートル (mm) ほどの赤朱色の一重咲きがかたまってつくのがふつうであるが、まれに白花や八重咲きもある。花弁は5個で、雄しべが多数付き、花柱は5個ある。
果期は10月。果実は直径3 cmの球形で黄色く熟し、ボケやカリン同様に良い香りを放ち、果実酒の材料として人気がある。また果実にボケ同様の薬効があり、日本産の意で和木瓜(わもっか)と称される生薬となり、木瓜(もっか)と同様に利用される。果実酒はクサボケ酒と呼ばれ、果実の3倍量の焼酎に漬け込まれて作られる。減少傾向にある。