それから数日後のことだった。
帰宅が遅くなり、僕は一人で銭湯へ行った。
いつものように、風呂上りにコンビニに立ち寄った。
レジの前の彼女が目に飛び込んできた。
同時に、彼女が「この前の学生さん!」と。
間違いなく、僕に投げかけた言葉だった。
「こ、こんばんは・・・」
どもってしまった。
見ず知らず(正確には1度会っているのだが)の女性から、
声をかけられた事に焦っていた。
初めての体験に。
洗面器を抱えた手に力が入る。
彼女は、スポンサーの支給品と思しき紺色のジャンパーに花柄のフワリとしたミニ。
その下の白くて細い足までも見てしまった事に、恥ずかしさを覚え、とにかく何か会話をしなければ、と切出した。
「毎日ここに来てるの?いつまで?」
矢継ぎ早の質問を浴びせかけた。
店内は、僕以外に立ち読み客しかいない。
ヒマを持て余してるだろう彼女は、ニコニコしながら話をしてくれた。
とても長く感じられたけど、5~6分の間だったろう。
彼女は、千里と書いて『ちさと』だと名乗った。
年齢は、僕より1つ年下だった。
言われてみれば、顔立ちは、どことなく幼かった。
そして、交代で来ているこの店は、今日が最後のシフトだと。
「もうすぐ上がるけど、直帰だから、時間あるんだー」
経験のない僕でも、わかった。
それは、彼女からの誘いだった。
~つづく