背中から尻尾にかけて痺れが走っている。
背中にはズキズキする痛みがある。
出血しているようだ。
猫に変身したチルはよろよろと立ち上がった。
友達のミャウを助けないといけない。
チルは最後の力をふりしぼった。
「高速猫走り!」
チルは処刑人ボッチの周りをグルグル回りだした。
「ゲホゲホ・・・まだ生きていたのか!これではどうだ!」
「無情のカナヅチ乱れ打ち!」
処刑人ボッチは上へ下へと無情のカナヅチを振り回した。
1発2発とチルは攻撃をかわした。
何発かは空を切り地面に当たった。
しかし、背中の痛みで動きが鈍った瞬間、猛攻撃の一発がお腹に当たった。
「ぎゃ・・・!」
お腹に激痛が走り地面に倒れこむと変身が解けてしまった。
チルは猫耳族の姿で横になり涙を流しながらミャウに囁いた。
「ミャウ・・・ごめんね・・・もう駄目みたい・・・」
「チル!」
ミャウも涙を流している。
「ゲホゲホ・・・手間をかけさせやがって・・・これでおしまいだ!」
処刑人ボッチは憎々しげに無情のカナヅチを振り下ろそうとした。
「ん?」
ヒラヒラヒラ・・・
なにかたくさんのものが処刑人ボッチの回りに現れた。
無数の蝶だ。
「胡蝶剣!!!」
黒いフード姿の者が剣を構えている。
木花城の城下町でわむたん達を見つめていたあの黒いフード姿の者である。
(お願い:この作品はポプラ社小説大賞応募予定作品につき、作品の模倣、一部の複写等の行為はご容赦ください。☆一部名称等ニフティに帰属する部分は投稿時に変更することとする。☆この作品の著作権はわむたんに帰属します。)