色取り取りの輝く蝶が舞っている。
胡蝶剣・・・蝶を纏った幻惑の剣である。
剣に蝶の鍔が付いている。
細いがしなやかで軽々しい剣だ。
黒いフード姿の者はさっとマントを脱ぎ捨てた。
「木花咲耶(このはなさくや) 推参!」
マントを脱ぎ捨てると、中から皮で作られた軽鎧姿の女戦士が現れた。
軽鎧の兜の後ろから長い黒髪がなびいている。
その軽鎧にも蝶の模様が刻まれている。
「猫耳族から毛皮を剥いで儲けているなんて許さないわ。」
「なんだお前は?猫耳族など俺さまの金儲けの道具にしか過ぎないわ!」
処刑人ボッチは無情のナイフを取り出すと無情のカダヅチと共に両手に構え振り回した。
ブーン、シュッ
処刑人ボッチの攻撃は空を切って木花咲耶に当たらない。
木花咲耶の姿はたくさんの蝶に囲まれ何人にも見える。
「胡蝶の羽音!」
木花咲耶が胡蝶剣を振ると剣先から蝶がほとばしり処刑人ボッチを取り囲み羽音をいっせいに出し始めた。
ぶ~んぶ~んぶ~ん
「グァッ・・・!」
処刑人ボッチは耳を押さえ転げ回った。
「鼓膜が痛い・・・これは堪らん・・・ゲホゲホゲホ・・・」
処刑人ボッチは立ち上がると一目散に岩肌に隠してあったの脱出シュートの扉の中にに飛び込んだ。
「逃げ足の速いやつだ。」
木花咲耶は、ミャウの前に行くと胡蝶剣を振った。
ミャウを繋いでいた鎖の錠が割れた。
「ありがとうございます。チル!」
ミャウは倒れているチルに駆け寄った。
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