「お花見について」
桜の開花が近づくといつも思い出します。
4年前の4月7日。
満開の桜が力尽きたように散り始めていた灌仏会(仏様のお誕生日)イブのことでした。
その日は土曜日で、その年最後のお花見に行く予定だったはずなのに、
降って湧いた新たな家族のお迎えにそんな予定は消し飛びました。
朝から車を飛ばして県境を越えると、リサイクルショップの片隅に、
静かに佇んでいるバセットハウンドがいました。
「これから、おまえさんの本当のうちに帰ろうね。もうどこにもやらんから大丈夫よ」
彼は抵抗もせずに促されるままにのっそりと小さな檻に入っていきました。
桜吹雪の舞い散る高速を経て、
後部座席で大きな体を申し訳なさそうにたたむ彼と家路を共にしました。
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彼は雪国の生まれのバセットハウンドで、
それまで命の危険にさらされながらいろんな場所を点々としていたのだそうです。
彼は生きることに多くを望まず、でもただひとつだけ熱望したのは、
「オレを人の側に置いてください」ということだけでした。
彼は「一緒に寝ようよ」と促しても先住犬に遠慮して遠くに伏せ、
先住犬からケンカを挑まれてもわざと降参し、
おやつを奪われても文句も言わず、
非力な先住犬からリーダーの座を奪うことは決してなくて、
「オレを家族として認めてほしい」と、卑屈なくらい平服していました。
この4年、いろんなことがありました。
積み重なる月日の中で彼は少しずつ家族と心を溶け合わせ、
心身を回復しながら信頼関係を築き、
今ではわが家で無くてはならない大事な仲間となりました。

昔は遠慮してあがらなかったソファーに、いまでは彼はわが顔で常駐しています。
今年も、彼を含めた家族全員でお花見に出かけるつもりです。
わんこ用のお弁当(おかかむすび・たまごやき・鶏レバーとむね肉・刻んだ野菜や果物
デザート用のわんこパンなどなど)を、お重にいっぱい詰め込んでいきます。
来年も再来年もずっと、我々は同じ桜の木の元で、共に同じ夢を見るのです。