自作パソコンを作るときに、欠かせないパーツの一つに、ケースファンがあります。
もっともファンレスというのもあるから、「欠かせない」とまでは言わないけど、普通のパソコンだったらどんなパソコンでもついていますね。
以下のようなパーツです(現在これオークション出品中の画像借りてきました)。
自作パソコンを組み立てる時、普通はこういう、完成品を買って来てパソコンに搭載するわけですが、ここはあえて、産業用電子部品として売られているファンを、パソコン用にカスタマイズして取り付けようと思います。
選定したメーカーは、冷却ファンメーカーとしては一部ではとても有名な、「山洋電気製」です。
かつて、Intel製CPUの純正ファンとして採用された実績もあり、上の写真にロゴの見える、オウルテック社もハイエンド向けの高級ファンとして、山洋電気製のファンを仕入れて販売しています。
山洋電気の製品は、問屋や企業、お店以外にも、個人でも1個から仕入れることが同社Webショップで可能になっています。
ちなみに、「山洋電気」は、エネループなどで有名なパナソニック系家電メーカーの「三洋電機」とは違う会社です。
混同されませんようにご注意下さい。
でもって話を元に戻すと、最初はオウルテックがパソコンユーザー向けに山洋電気製ファンを仕入れて、パソコン向けにカスタマイズしているファンでもいいかなと思っていたのですが、微妙に静音寄りで静圧を重視しているものがあまりありませんでした。
今回欲しいのは、92mmサイズのPWM対応ファンなのですが、オウルテックが販売している奴はF9-PWMしかありません。
山洋電気自体は色々ファンを作っている様ですが、オウルテックで扱っているのは品揃え少な目です。(しかも山洋電気がカタログに出しているのと違って、オウルテックが扱ってる山洋製ファンは山洋電気側のカタログに掲載されていないし特注?)
とりあえず、一個PWM制御対応のファンを仕入れて、これをベースにPC用に改造してみました。
オーダー品が届きました。かなりごっつい箱に入っています。
左側にちょこんとあるパーツは、近所の電子パーツ店で購入した4ピンコネクタです。元々この製品、産業用の電子部品扱いなので、リード線切り落としで完成品のファンみたいにコネクタがついていません。ちなみにこのコネクタ部品、基板用のオスコネクタもついて来ていますが、こっちは要りません>< というかそっち無しでオスメスそれぞれ100円にしてくれればいいのに...。
開けてみると、ものすごく丁寧に梱包されています。高精度ボールベアリングを搭載した精密部品だから無理もありませんけどね。ちなみにこれ、同じ9cmでもオウルテックで販売されているF9-PWMよりはずっと高速且つ高風量です(その分騒音が最高速度で39dBもありますけどね)。

とりあえず、ケーブルをよじよじよじよじっとねじります。
こうしておくと、線がまとまる上に、ノイズが軽減されるとも言われています。
次に、熱収縮チューブに通します。必須ではありませんが、一応線を強化したり、よじったのがほどけたりした時のことを考えてです。にしてもよじってるから通しづらくて、結局当初予定よりもワンサイズ大きなチューブに通しました。縮めるときにちょっと不恰好になった気がw
次に、ケーブル芯線が長すぎるので、少し短く切って、2mmほどにします。このぐらいの長さでないと、コンタクトピンに綺麗に圧着出来ません。

コンタクトピンに圧着します。 本当は圧着するところお見せしたかったんですが、すごくデリケートな作業で、カメラ片手に出来る作業ではありませんでした。
コネクタのシュラウドを取り付けます。これで初めてパソコンに繋がります。左から順にPWM回転制御、速度検出、DC+12V、GND(マイナス)です。
熱収縮チューブを加熱して縮めます。最初はドライヤーでも加熱は十分かと思ったけど、全く縮む気配を見せないので、急遽ハンダゴテで加熱してがんがん縮めてやりました。
どんどん縮みます。

いよいよ完成です。こんな具合でどうでしょう?

パソコンに取り付けます。こんな具合です。ただケーブルがちょっと短くてゆとりが全くない様なので、後日延長ケーブル繋ごうかどうか悩みます。一応繋がりましたけどね。吸気ファンなので、ファンの銘板が内側になる様に取り付けます。


さて、ここでリンクが前々から気になっているのが、ファンの取り付け方法です。
一般的に、ファンを購入した時には、セルフタッピングタイプのテーパーネジというのがついてきて、これで取り付けることが多いと思います。(以下画像がテーパーネジ)
しかし、リンク的にこのネジでつけるのは、なんだかよくない感じがします。
これはファンのフランジの穴に、ネジ穴を削りながらねじ込み、固定をするネジで広く使われています。
まず第一に、硬いのでねじ込むときに、ネジの溝をなめてしまう可能性があります。
第二に、着脱を繰り返すうちにねじ山が壊れて行き、ぶかぶかになって取り付けられなくなる事があります。
第三に、くさびの様にネジをフランジにねじ込むことで固定するネジなので、稀にねじ込んでいる途中にフランジをばっきりと割る可能性があります。
そうなるともうファンは台無しです。お釈迦です。
だからこのネジを使うのはリンクはお勧めしません。
ボルト、スプリングワッシャー、平ワッシャー、ケース外装、ファン、フランジナット、の順に重ねて、こういったネジを用いてネジをねじ込むのが一番だと思います。
また、上の組み立て工程で使った、長いボルトも、リブ付きのファン、リブ無しのファン問わずに添付されていることが多いのですが、リブ付きのファンのみに使うことをお勧めしたいです。
リブとは外側のフランジと内側のフランジを繋ぐ筒のことで、一枚目の完成品のファンがリブ無しファン、リンクが今回作ったファンがリブ付きファンです(写真を見比べて下さい)。
リブ無しのファンに長いボルトをねじ込んで両フランジを貫通固定にすると、そのボルトの締め付け圧力で、ファンを変形させたり、最悪破損させたりすることが考えられます。
リブがついていればリブが支えになるので、変形や破損の可能性はありませんので、正しい取り付けです。
リブが無いものは、10mmから15mmぐらいの短いボルトを使って、フランジの片方のみを使ってケースに固定するのが良いです。
この写真のようにフィンガーガードを取り付けたい場合は(このファンはリブ付きですが)、リブ無しのファンの場合はファンをケースに固定するのに4本、フィンガーガードをつけるのに4本、合計8本を使うことになります。
最近は完成品のケースファンは、リブ無しのファンが多いので、M3~M4サイズの短めのボルトとナットを別途ホームセンターなどで購入しておいたほうがいいですね。
大抵完成品のファンを買うと、付属してくるのがテーパーネジと長いボルトばかりで、リブ無しだから短いのを、という几帳面な製品は少ないようです。
いよいよテスト動作です。
ひとまずPCの電源を入れたら、ちゃんとファンは回転しています。
まずはファンスピードを自動コントロールしている時の様子。赤い枠で囲ってあるのが、今回取り付けたファンです(ちなみに一つ上は背面の排気ファンの物です)。

次に自動制御をオフにして、最大スピードにした時の様子。かなりの爆音が出ますw

PWM制御によってちゃんと速度が上がっているのが確認できると思います(一つ上のファンも)。
これで、高性能なケースファンがPCに搭載されました。
ボールベアリング方式なので、結構軸音が激しいファンで、お世辞にも静かなファンではありませんけど、風量はかなり多くて冷却性能がグンと上がりそうです。
ファンの反対側に爆熱のビデオボードも取り付けられているので、これの冷却も期待できると思います。
やはり自分で厳選したパーツ、自分で加工したパーツは愛着が持てます。
以上