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人工の放射性核種 |
セシウム137 |
3兆2000万ベクレル |
30年 |
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ヨウ素131 |
4600兆ベクレル |
8日 |
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キセノン133 |
6900兆ベクレル |
5.3日 |
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クリプトン88 |
290京ベクレル |
2.8時間 |
原発の大事故で放出されるおもな人工放射性核種
原爆や原発は、ウラン235やプルトニウム239の原子核を人工的に破壊する核分裂反応によってエネルギーを取り出す。もとのウラン235やプルトニウム239の原子核は粉々の破片に分かれる。これらの破片のほとんどはひじょうに放射能レベルが高い放射性核種である。これらの人工放射性核種は、半減期が短い。同じ核種が超新星爆発で生じたとしても地球誕生時には失われていた。したがって、生物にとっては初体験である。
①放射性クリプトン、放射性キセノン
常温でも気体の放射性核種で、原子炉中のほぼ全量が放出される。重い気体。「放射能雲」が通過中に強烈な放射線を浴びせる。しかし「放射能雲」の通過後には残らない。
②ヨウ素131
ヨウ素は184℃で気体になるため、原発事故でひじょうに放出されやすい。
天然のヨウ素はすべて安定なヨウ素127で、放射性のヨウ素は存在しない。ヨウ素は必須微量元素で、咽喉(のど)の近くの甲状腺に集められ成長ホルモンの成分になる。呼吸や水・食物をとおして放射性ヨウ素を取りこむと、ふつうのヨウ素と同じように甲状腺に集められ、甲状腺が集中的に被ばくする。
ヨウ素131の半減期は8日なので半年後にはほとんど消滅する。しかし遺伝子についた傷が残ると、甲状腺ガンを引き起こす。チェルノブイリ原発事故による子どもの甲状腺ガンは事故の5年後に現われ始め、10年後にピークになった。発症率は、汚染地区が多いゴメリ州全体で、子ども約1000人に1人。
③セシウム137
セシウムも678℃で気体になるため、原発事故で放出されやすい。
セシウム137は、半減期が30年と長い。またセシウムは土壌粒子と結合しやすいため長い間地表から流されない。このため、短寿命の放射性核種やヨウ素131が消滅したあとにも残る。地面から放射線を放ち続け、農作物にも取り込まれて、長期汚染の原因になる。
旧ソ連では、セシウム137が1平方メートルあたり150万ベクレル以上(1平方メートルあたり0,004グラム以上!)の地域を強制立退き地域にした。高濃度汚染地域は、チェルノブイリ原発から約250kmの範囲に点在している。
過去には、1960年代末までの大気圏核実験によって1憶8500万京ベクレルという、膨大な核分裂生成物がばらまかれ、地球全体を汚染した。核実験によるセシウム137は、現在も海水・地表・大気中に残っている。
(④プルトニウム239)
プルトニウム239は原発事故ではあまり遠方には放出されず、大部分は事故原発の敷地周辺にとどまると思われるが、参考のために記す。プルトニウム239は核分裂反応でつくられるのではなく、核分裂反応により放出される中性子を燃料棒中のウラン238が吸収して生み出される。プルトニウムは94個の陽子をもつ。天然には陽子を92個もつウランよりも陽子数が多い元素は存在しないので、陽子を93個以上もつ人工元素を超ウラン元素という。
プルトニウム239の半減期は長く2万4千年もある。これは地球の年齢とくらべれば十分に短いが、人間の時間から見れば半永久的に長い。
ということは、セシウム137は今から30年経っても今の半分の放射能を出し続けることになり60年経つと今の25%の放射能を出し続けることになる。
プルトニウム239に至っては2万4千年経っても半分にしかならなく長く日本人を苦しめることになるであろう。