たい焼きは昔から日本人になじみのあるおやつです。
今では白い皮のたい焼きが登場したり、あんこだけでなく、カスタードクリームやら、今の時期だと桜色のあんこが
入ったたい焼きもあったりとバリエーションも増えました。
「およげ!たいやきくん」という大ヒットした歌もありましたね。
たい焼きと同じ材料で作られていて、味もたい焼きと変わらない大判焼き(地域によっては回転焼き、今川焼きと
呼んだりもするようです)というおやつもありますが、形は平凡なので、見た目のユニークさではやはりたい焼きに
軍配が上がります。
そしてそのユニークな形が理由で、たい焼きには「たい焼きは頭から食べるのか、しっぽから食べるのか」という
議論が常につきまといます。
どこから食べるのかが議論されるおやつなど他に思い当たりません。
ちなみに皆さんは、たい焼きは頭から食べますか?それともしっぽから?
実は私は、この「たい焼き」に特別な思い入れがあります。
私は3歳の時、病気で2週間入院しました。
背骨にずぶとい注射を受けなければならない病気を患ったようで、その注射の痛みたるや、大の大人でも涙が
チョチョ切れるほどだ、と聞きます。
ただ、私はその痛みについては全く記憶にありません。
たった3歳の時のことです。覚えていないのは当然でしょう。
しかし、鮮明に覚えていることが一つあります。
それは、忙しい仕事の合間をぬって、父がたい焼きを持って見舞いに来てくれたことです。
私が生まれて初めてたい焼きを口にしたのがその時でした。
父が茶色い紙袋からたい焼きを出して私に差し出してくれた時、魚の形をしたおやつが子供の目にとても物珍しく
映りました。
そして、「どこから食べればいいんだろう?」「食べるのがもったいないな」と思ったこと、そして、父がたい焼きを
ものの二口ほどで平らげてしまったことをよく覚えています。
3歳のときの記憶として私の中に残っている「たい焼き」。
今でもたい焼きは私の大好物のおやつです。
そして、たい焼きを食べると不思議とほっこりと落ち着いた気分になって、妙に懐かしい気持ちを覚えるのです。
