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うちのばあちゃん、目見えないんだけどさ、ほんとは見えてんじゃないかと思うんだよ。 なんか、どう見てもそうとしか思えないような行動すんの。 盲目だといろんな感覚が鋭敏になるっていうけど、それどころじゃない。
視力失ったきっかけはあんま話したがらないんだけど・・・なんか、見ちゃいけないもの見ちゃったらしくてさ。 「タカ(俺のこと)も、見えんふりしたほうがいいことあるからね」ってその話の最後に言われた。 小2か小3くらいだった俺は、見て見ぬふりしたほうがいいことがあるっていう教訓くらいにしかとらなかったけど、今思えば、ほんとにこの世で見ちゃいけないもの見ちゃって、それ以来盲目のふりしてるんじゃないかって思う。
「私は見てませんよ。私は関係ないですよ。だから連れてかないでください」って感じで。 今でも、宙で一瞬視線を止めて、慌ててそらしたりしてるし・・・
それでさ、じいちゃんが、ばあちゃんに背中かいてくれとかしょっちゅうたのんでんの。 ばあちゃんも見えてるみたいにさ、「はいはい」とか言って、「あら虫に刺されてますよ」とか言って、余裕でムヒとか持ってきて手探りもせずに患部にすっと塗るんだよね。 まさに正確無比だよね。
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