朝、家を出て数歩、黒猫が飛び出してきました。
猫と見れば、捕まえて頭の一つでも撫でたい心情にかられますが、この黒猫はいかつすぎました。
振り向きざまに睨む目つきが尋常じゃない。
最近、近所の野良猫事情にも疎くなり、こんなガラの悪いのがうろついているとは知りませんでした。
根が野良人間の私としては、その風格で、この猫の悪さの軌跡、修羅場の数々が容易に想像できるのです。
どこぞ、名のある親分さんに違いない。
「どこの組の方ですか?」
何も答えず、私から視線を外し悠々と立ち去っていくのです。
私も猫と喧嘩して勝てる自信なんかない。後でイジメられてもかなわんので、深追いはしません。
ただ、できることなら二度とお会いしたくないなぁとだけ思いました。
ライザップのCMの猫も、なかなかにふてぶてしさを醸して大物感を漂わせていますが、痩せようと考えているなんざ、可愛いところもあるじゃないですか。
私に言わせりゃ、まだまだデブのふてこさで、実戦が足りていません。
私が見た黒猫とは貫禄が違う!
だいたい、まだまだ現役で場数を踏んでいるので、ぶくぶく肥えるような甘さがなく、爪に毒でも仕込んでそうな面構えです。
もしかしたら、この子が来たせいで、私も野良猫事情に疎くなったのかもしれませんね。
「清水港は鬼より怖い。大政、小政の声がする」
近所の猫ちゃんたちも、こう噂して我が家の付近に近づかなくなったのかもしれません。
次郎長を上回る貫目、この黒猫は大政に違いない!