本編の時に、「魚香茄子」と「麻婆茄子」とは調味料が違う、ということを書いていたのですが、
今回アンサー編でそれについて詳しく書こうと思って改めて調べると、
・・・・・
人によって調味料はいろいろなんだなあ、とわかりました。
わかってみれば、それは当り前のことなんですが、
ついついwikiの、「魚香茄子」から「麻婆茄子」が派生した、というのに引きずられてしまいました。

「麻婆茄子」以外にも、「麻婆モヤシ」「麻婆大根」「麻婆春雨」、いろんなバリエーションがありますね。
ただ、本来的なことを言うと、「麻婆」は「豆腐」だけなんです。
「魚香」は「茄子」以外にも「魚香ぶた」とか「魚香きも」とかあるらしいのですが、
「麻婆」が「豆腐」だけなのは、「魚香」が味付けを説明する言葉であるのに対して、
「麻婆」はそうではないからです。
伝説では「麻婆」さんというあだなのご婦人が、急拵えででっちあげた料理なので、
「バリエーション」があるはずがないのです。
たとえていえば、「大学芋」は「さつまいもの飴がけ」のことですが、
「大学」が「飴がけ」という調理法を示しているわけではなく、「大学」と「芋」に分離できないので、
「山芋の飴がけ」のことを「大学山芋」とは呼ばないようなものです。
(現代社会における「麻婆茄子」のようなバリエーションの存在を否定する意図ではないです。
なので、「大学山芋」と呼んでもいいと思います。)
さて、「魚香」の味付けについて説明をします。
最初に書いたように人によって味付けは様々です。
ですから、細かい調味料の配合は省略しますが、
そもそも「魚香」が「魚」の「香」と呼ばれるようになったのには、
次のような理由があるとされています。
地図を開けばすぐにわかると思いますが、四川省は海から遠く離れています。
北海道~九州間くらい離れています。
ですから、日常的には海産物と縁がなかったのですが、
そんな中でどうにか「海っぽい」味の料理を作れないかと、
いろんな調味料を駆使して作り出したのが、この「魚香」なのだそうです。
ところが、私が昔ある四川料理屋(四川省の店ではない)で食べた「魚香」には、
魚の干物をみじん切りにしたものが入っていたんですよ。
長年疑問だったのですが、今回調べてみて、ある地域では「魚香」という名で、
魚の干物を使って味付けする料理があることがわかりました。
もしかしたら、「魚香」という名前を見て、誤解、もしくは再解釈してできた料理なのかもしれません。

いや、あの、そんな、
「そうめんのつゆで冷や麦を食べてはいけないのでしょうか」的な質問を・・・・・

中国における「麻婆茄子」の発生が、日本のそれと関係あるかどうかは、
本編で書いたように不明です。
こういった事柄は資料で跡付けるのが難しいので、
調査研究したからといって判明するとは限りません。
料理そのものは「麻婆豆腐」の応用で、容易に家庭で出現し得るものだからです。
ただ、「それ」を「麻婆豆腐」にならって「麻婆茄子」と命名するには、
先に書いたような事情から、発想の転換が必要です。
「麻婆豆腐の茄子版」とは言えても、それを「麻婆茄子」と表現するのは難しいでしょう。
「丼」という料理そのものは中国に普通にあるので、
「麻婆茄子」が存在すれば自動的に「麻婆茄子丼」は発生し得ます。