さて、ベトナム青年のことなんですが、出会ったのはちょうど1年ほど前のことです。
スーパーでうろうろしているのを見かけ、声をかけました。
出口で「頑張れよ」と言って、ビール2本を袋にいれてあげました。
それっきりと思っていたのですが、それが近所の縁、半月もしないうちに私を見かけて走り寄ってきました。
まだ、ろくにしゃべれない日本語で、一生懸命にあれこれと伝えてきます。伝えきれない歯がゆさ、照れもあるでしょう、感情がどうしようもなく行き詰ってニコニコと笑います。
男のくせに可愛いんです。
日本は寒いと思って覚悟してきたのに、こんなに暑いと思わなった、と8月に会ったときは言いました。
その時に、家に呼んで、貰い物のメロンやスイカをごちそうしました。
会うたびに、今でもですが、「日本語もっと頑張れ」と言い続けてきましたが、その日に思いました。
人の表情を一生懸命に拾い、言葉でわからない分、人の真意をはかる姿は、思いやりのある子なんだなぁと感じました。
何よりも大事なものを持っている。おそらく言葉がたどたどしくても、万国どこでも、その優しさに救われる人なんだろう。
でも、敢えて「日本語下手すぎるぞ」となんでか、私は冷たくなってしまうのです。
ここからが、餌のための日記です。もう10分ほど過ぎてるけど。。。
9月の終わりだったか10月の初めだったか、夜に私の家へ飛び込んできたことがあります。
ベトナムに帰るから、会社に一緒に行ってほしい、というのです。
ただごとじゃない。
何があったのか、急いで会社に行きました。
結局はアホな話で、一緒に来たベトナムの子と大喧嘩になったというだけ。
会社が借りてくれている3DKの部屋に3人で住んでいるのです。
ごみを捨てない杜撰な相棒に我慢の限界が来たもよう。どうやら私の友達が一番年上で、それだけに責任も一層感じての爆発だったのでしょう。
会社の人も一生懸命になだめる中、私と同じくらいのおっちゃんが、真剣に怒り出しました。
ただただ素直に首を縦に振り、
「わかりました。ごめんなさい」ということで簡単に収まりました。
まだ、ほとんど言葉もできないのに、その人の言葉には素直に頷く、不思議なものをみたような心持で、私は茫然とします。
どんなカラクリなんやろ?
「とにかく、この子にだけは厳しくしました。」
すごく温和な、怒ることのないような人なんです。
家に送って行く途中、3人で飲み屋に入り話を聞きました。
3人一緒に入ってきた中でも、この子は1か月ほど日本語の勉強が遅れてしまっていたようです。
そのせいか、最初は、一番アホとお抱えもの扱い。
「それがたまらんかったんです」
この子は人一倍思いやりがあって、嫌な雑用も一番にする子だった。可哀そうなくらいしごいたらしい。そして、しごいた本人は、今もいまだにくよくよと後ろめたさがつづいているようです。
「ぼく、この子好きなんですよ」
なんか、凄いなぁと思いました。
おそらく、しごいている本人も、この若い子以上のしんどさで付き合ってあげたんだろう。目線を合わせてあげるだけでも難しいことです。だいたい20代前半の目線なんか私なんか忘れてます。
私が、去年、退社しようとしていたのを伸ばしたのは、この人に会ったからなんです。なんか、伝えておかないと申し訳ないと思ったからです。
でも、よくよく考えたら、私につたえるものなんかないと感づきましたけどね。。。。
市井の中にこそ、偉人はいるもんなんですねぇ。
この前、ベトナム青年が私のところに来たのは、父の日のプレゼントのことです。
日本の習慣がまだわからず、困っていました。
「ビールでええよ」と言っておきました。
まるっきり無視される父ちゃんの日。
私が10年間、必死に盛り上げようと失敗し続けた父の日。
企画なんか小細工、どうでもええですわ。
一緒にいいお酒飲んだかな?
幸せを交換し続けるいい会社だなと思いました。