メロン
(甜瓜、和名:メロン、英: melon、学名:Cucumis melo)は、果実を食用にするウリ科の一年生草本植物である。また、その果物・果実のこと。
北アフリカや中近東地方の原産地と推定されたが、最近の遺伝子研究によれば、インドが原産地と裏付けられた。紀元前2000年頃に栽培が始まった。通常Cucumis melo L.の西方に伝わった品種群をメロンと呼び、東方に伝わった品種群を瓜(ウリ)と呼ぶ。日本のマクワウリなどもそのひとつである。漢字では甜瓜(てんか)と呼ぶが、これはメロンを指すと同時にマクワウリをも含む表記である。
紀元前5世紀頃にエジプトで作られた苦味の少ないメロンが地中海を超えてヨーロッパに渡った。当時のメロンはキュウリよりは甘いという程度であり、サラダや酢漬けにされた。その後、甘いメロンが作られるまで数世紀に及ぶ改良の努力が行われた。ルネサンスの頃に南フランスでカンタルー種のような甘い品種が作られるようになり、メロンは野菜の仲間ではなくなっていった。
日本では中世の考古遺跡から炭化種子が検出されており、古い時代に渡来して雑草化したものは「雑草メロン」(Cucumis melo L. var. agrestis Naud.)と呼ばれ、西日本の島嶼部などに自生している。
メロンの産地として夕張などの冷涼な地域が有名である。熱帯性の種の多いウリ科植物には珍しく、日本で流通している高級メロンの元になった品種はヨーロッパで生まれ、夏の高温多湿に耐えられないからである。同じウリ科の果菜のスイカが庶民の味として親しまれてきたのに対し、メロンは高級品というイメージを持たれた。近年では品種改良が進み産地も広がり、生産量ベースではメロンがスイカの約半分まで追い上げている。時期や地域にもよるが同程度の小玉スイカと価格が逆転する場合もある。スイカの旬は盛夏だが、より冷涼を好むメロンの出荷期の方が早いため、出始めの高値のスイカと安いメロンが市場に出回ることになる。普及をめざす過程で様々なタイプの品種が開発あるいは移入されたため、超高級から低価格まで、外見も味も多様な品種が見かけられる。
同属の有用植物としてキュウリ(胡瓜、C. sativus L.)がある。
メロンは園芸分野では果菜(実を食用とする野菜)とされるが、青果市場での取り扱いや、栄養学上の分類果物あるいは果実と分類される。