グレープフルーツの木は、常緑樹であり5-6mの丈のものが多く見られるが、成長を続ければ13-15mにもなる。その葉は15cmほどの長さで細長く、花は5cmほどの大きさで白く4枚の花弁がある。実は10-15cmほどの大きさで黄色く、球形だがでこぼこしている。中の身が白や赤のものも広く栽培されている。pomelo、toronjaや、pamplemousseと呼ばれることもある。19世紀の後半まで主に観賞用として栽培されていたと言う説が有力である。
1750年代に、西インド諸島のバルバドスで発見されたものが最初とされ、ブンタン(英名:pummelo、学名:Citrus grandis)とオレンジ(学名:Citrus sinensis)が自然に交配したもので前者の特徴を多く受け継いでいる。セミノールやミネオラ (minneola) は、グレープフルーツにタンジェリンを掛け合わせることで、オロブランコ(スウィーティー)は、グレープフルーツの4倍体に無酸ブンタンをかけあわせることで生まれた。
1800年代に「グレープフルーツ」と呼ばれるようになったが、これはまるでブドウ (grape) のように木になることからつけられた。1830年代にブンタン(英名はシャドック (shaddoc))から別の種、学名をCitrus paradisiとされたが、1950年代になるまで、自然交配の結果に生まれた種であるとは認識されていなかった。その後、学名は雑種を示すCitrus × paradisiに変更された。
品種は多くあるが、主に果肉は「マーシュ」というホワイト系のものと「ルビー」というピンク系のものがある。ルビーは酸味が少なく甘い。その他、多くの品種がある。
主に、ノートカトンとチオテルピネオールに由来する、特有の香りがある。
甘さや酸味の他に、ほろ苦さがあるのが特徴(主成分はナリンギンなど)。この苦みを好まない人もおり、生食の際に砂糖をまぶして食べる場合もある。生で食べるほかにジュースや様々な加工食品に用いられる。また、絞り汁はカクテルやサワーの材料に用いられ、グレープフルーツ専用の搾り器がある。皮もマーマレードやジャムに使われることもある。グレープフルーツの種からは抗菌成分が抽出できる。市販の食用のグレープフルーツの種の発芽率は高く、土に埋めておけば比較的簡単に発芽する。
輸入品には、品質維持と腐敗を防ぐために、収穫後に農薬(殺菌剤)が塗布されている。これをポストハーベストと呼ぶ(日本の法律では、食品添加物扱い)。
日本で流通するグレープフルーツは、世界から輸入されたもので、7割近くをアメリカ産が占めている。亜熱帯地域原産の植物であるため、生育には高温が必要で、日本では限られた地域でしか収穫できない。
グレープフルーツには、フラボノイドが多様に含まれている。グレープフルーツやグレープフルーツジュースが、体重減少に効果があったと研究論文が発表されている。
グレープフルーツの果肉に含まれるフラノクマリン類は、様々な医薬品と相互作用(干渉し、意図しない効果を生み出すこと)が、1990年に報告された。
これは、薬物代謝酵素(解毒酵素)のシトクロムP450サブタイプ3A4 (CYP3A4) を阻害する作用によるものである。この作用を起こす成分は、グレープフルーツにも含まれるが、特にグレープフルーツジュースには高濃度で含まれる。
特にカルシウム拮抗剤という系統の高血圧治療薬などで、グレープフルーツの影響を強く受ける薬があることがよく知られている。このほかにシクロスポリン、ベンゾジアゼピン系、風邪薬でも主作用、副作用ともに効果が効き過ぎてしまう。阻害様式は、不可逆的に阻害するために阻害作用は3-4日続き、グレープフルーツジュースの摂取自体を禁止(併用禁忌)する必要がある。85の薬と相互作用し、約半分では重篤な副作用を起こす可能性がある。
フラノクマリン類は他の柑橘類にも含まれるが、含有量はグレープフルーツでは品種、柑橘類の種類で異なる。温州みかんは含有していない。