(薊)は、キク科アザミ属 (Cirsium) 及びそれに類する植物の総称。標準和名を単にアザミとする種はない。スコットランドの国花。 アザミの根は、山牛蒡(やまごぼう)として漬け物に用いられている。
葉は深い切れ込みがあるものが多い。また葉や総苞にトゲが多く、さわるととても痛いものが多い。触れれば痛い草の代表である。
頭状花序は管状花のみで作られていて、多くのキクのように周囲に花びら状の舌状花がならばない。花からは雄蘂や雌蘂が棒状に突き出し、これも針山のような景色となる。花色は赤紫色や紫色をしている。種子には長い冠毛がある。
若いときには根出葉があり、次第に背が高くなり、茎葉を持つが、最後まで根出葉の残る種もある。草原や乾燥地、海岸などに出るが、森林内にはあまり出現しない。別名刺草。名前の由来は、アザム〈傷つける、驚きあきれる意〉がもとで、花を折ろうとするととげに刺されて驚くからという説がある。
スコットランドでは、そのトゲによって外敵から国土を守ったとされ国花となっている。花言葉は「独立、報復、厳格、触れないで」。
ロレーヌ公国を象徴する花となっている。
青森県津軽地方や青森市、東北町を中心とする東北地方や長野県の一部では、春先にアザミの若芽がスーパーマーケットに並び、食用として売られ、主に味噌汁の具として使われる。新芽や根は、天ぷらなどにして山菜として食べられる。「山ごぼう」や「菊ごぼう」などといわれることもあり、味噌漬けなどの加工品として山間部の観光地・温泉地などで販売される「山ごぼう」は多くの場合、栽培されたモリアザミの根である。
カルドンは、つぼみを食用とするほか、ポルトガルで作られる伝統的なチーズ「セーラ・ダ・エストレーラ」の凝固剤を使用する。
蜜源植物としてはちみつが生産される。またこの植物は、鳥や蝶など多くの種を養っている。
古代では、育毛剤。近代では、頭痛、ペスト、潰瘍の痛み、めまい、黄疸の治療薬と考えられた。
園芸面としてとげがあり、繁殖力もあり、一部の種は強くはないが毒があるため、あまり歓迎されない。
世界に250種以上があり、北半球に広く分布する。地方変異が非常に多く、日本では100種以上あるとされるが、現在も新種が見つかることがある。さらに種間の雑種もあるので、分類が難しい場合もある。