アセビ 
(馬酔木、梫木、学名: Pieris japonica subsp. japonica)は、ツツジ科アセビ属に属する常緑性の低木である。本州・四国・九州に自生し、観賞用に植栽もされる場合もある。あしび、あせぼとも呼ばれる。
馬酔木の名は、「馬」が葉を食べれば毒に当たり、「酔」うが如くにふらつくようになる「木」という所から付いた名前だとされる。
樹高は1.5 mから4 mほどである。
常緑樹であり、葉は楕円形で深緑、表面に艶が有り、枝先に束生する。
早春になると枝先に10 cmほどの複総状の花序を垂らし、多くの白い壷状の花を咲かせる。雄蕊は10本で、2個の角を持ち毛深い。なお、園芸品種には、ピンクの花を付けるアケボノアセビ(ベニバナアセビ)などがある。
果実は扇球状になる。
アセビは日本列島の本州、四国、九州の山地に自生する。やや乾燥した環境を好む。
有毒植物であり、葉に限らず、全体に有毒成分が含有される。このため、多くの草食動物はアセビを食べるのを避け、食べ残される。そのため、草食動物の多い地域では、この木が目立って多く生育している場合がある。このためアセビが不自然なほど多い地域は、草食獣による食害が多いことを疑うこともできる。例えば、奈良公園では、ニホンジカが他の木を食べ、この木を食べないため、アセビが相対的に多く見られる。
アセビは、日本で庭園の樹、公園の樹として植栽される場合がある他に、花を咲かせる盆栽としても利用される。
また、アセビが有毒植物である事を利用し、その葉を煎じて殺虫剤として利用される。古くは葉の煎汁がシラミ、ウジ、菜園の虫退治に用いられた。そこで、アセビの殺虫効果を、自然農薬として利用する試みもなされている。
アセビの有毒成分として、グラヤノトキシンI(旧名アセボトキシン)、アセボプルプリン、アセボイン、アンドロメドトキシン(英語版)が挙げられる。中毒症状は、血圧低下、腹痛、下痢、嘔吐、呼吸麻痺、神経麻痺が挙げられる。
なお、ニホンジカが忌避する植物であるため、シカの生息密度が高く食害を受け易い森林では、アセビをシキミなど共に混植する試みが行われた事例も有る。