ハルジオン 
(ハルジョオンとも、春紫菀、学名:Erigeron philadelphicus L.)は、キク科ムカシヨモギ属に分類される多年草の1種。北アメリカ原産で、日本では帰化植物となっている。ヒメジョオンと共に、道端や空地でよく見かける雑草である。一部の地域では「貧乏草」と呼ばれ、「折ったり、摘んだりすると貧乏になってしまう」と言い伝えている。
北アメリカを原産地とする。日本を含めた東アジアに外来種として移入分布している。
多年草で、背の高さが30 - 80センチくらいになる。
根元には篦型の根出葉があり、花の時期にも残ることが多い。葉と茎は黄緑色で、まばらに毛が生える。茎はあまり枝分かれせずに伸び、先の方で何回か枝分かれして、花をつける。花はヒメジョオンと同じく、細い舌状花を持つヒマワリのような花だが、白とピンクのものがある。また、ヒメジョオンより一回り花が大きい。
ハルジオンとヒメジョオンは、花がよく似ていて混同してしまうことがある。 花びらの幅の違いで見分ければ直ぐに解る。1㎜以下の細い花びらがハルジオンで 約1.5㎜で幅が広いのがヒメジョオン。花びらの幅で見分けるのが一番解りやすく誰にでも簡単にできる方法。
標準的には、ヒメジョオンの方が背が高く、花は小さくて数が多く、根本がすっきりしている。これに対して、ハルジオンは背は低く、花は大きくて少なく、根本に葉がある。また、ハルジオンの蕾は下を向いて項垂れているような特徴がある。従って、しっかりと比べて見れば、はっきりと見分けがつく。
分かりにくい場合は、茎を折ってみるとよい。ヒメジョオンの茎には空洞がないが、ハルジオンの茎には真ん中に空洞がある。葉の付き方も違い、ヒメジョオンの葉は茎を抱かないが、ハルジオンは茎を抱くように付く。
最近では、デジタルカメラで花をマクロレンズで撮影する人が増え、花だけを拡大して写すことがよくある。そのような花だけの写真では、この両者の区別がとても難しい。標準的な花では、ハルジオンはヒメジョオンより花が一回り大きく、舌状花の数も多いので、見分けられるが、判断が難しい場合もある。
なお、ハルジオンとヒメジョオン以外にも、近縁のものがあるので、注意が必要。
また、花弁の白い部分がやや紫がかる個体が見られることもあるが、これは清浄な空気の中で育った時にできるものである。
牧草地や畑、道端など窒素分の多い場所を好んで生育する。花の時期は4-6月頃で、ヒメジョオンの6-10月頃よりも早い。
食用として葉、茎、新芽や若芽、蕾など大半が可食部位となる。野草と同じように天ぷら、お浸しなどにして食べることが出来る。春菊のような苦みとアクの強さが特徴。
日本では1920年代に観賞用として持ち込まれた。1980年代には除草剤に耐性のある個体が出現し、関東地方を中心に全国へ分布が拡大した。
農作物や牧草の生育を妨害するため、厄介な雑草として扱われている。さらに、在来の植物と競合し駆逐する恐れがある。
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律により要注意外来生物に指定されている。また、日本生態学会では本種を日本の侵略的外来種ワースト100に選定している
ハルジオンは漢字に直すと「春紫菀」となる。「春に咲く、キク科のシオン(紫菀)」という意味。但し、ハルジオンはキク科シオン連ムカシヨモギ属であり、シオン(キク科シオン連シオン属)とは全く別種であるので、注意が必要である。
標準和名はハルジオンであるが、植物学者の牧野富太郎が、同類のヒメジョオンとの類似からハルジョオンの名が普及している、としている。
なお、同じようにヒメジョオンを「ヒメジオン」と呼ぶのは、ヒメジョオン(姫女菀・キク科シオン連ムカシヨモギ属)とは全く別種のヒメシオン(姫紫菀・キク科シオン連シオン属)との混同となるので、間違いである。
同じキク科シオン連ムカシヨモギ属であるハルジオン(俗称・ハルジョオン)とヒメジョオンは、見た目が非常に似ている上に、名称も紛らわしい。さらにヒメジョオンとは別種であるヒメシオンとも名称が紛らわしく、中国における「女菀」が日本におけるヒメシオン(姫紫菀)を表すので、注意が必要である。