「入りなさい。」
わむたんは、半円形のドアを開けて中に入った。
「みゅうみゅう・・・」
中に入るなり、可愛い声の持ち主がわむたんに飛びついてきた。
「うわ。お師匠様これは何ですか。」
「それか。それはこの前捕まえてきた大耳白兎じゃよ。」
いたずらっぽく梟導師は笑った。
齢何千年も生きていようかと思われる深く刻まれた皺の中にひときわ目立つ大きな目があった。
何者もを射抜く眼光の鋭さの中にも優しい光が満ちている。
そもそもわむたんと梟導師が出会ったのは、わむたんがまだほんの幼少の頃、福招神社の境内で遊んでいた時に偶然見つけた地底湖の次元障壁の壁を通り抜けて梟の森に行った時である。
それ以来さまざまな剣法、魔法、不思議な動植物との出会いを経験してきた。
梟導師はいつも暖かくわむたんを導いてくれる。
梟の森の裏にある梟池の釣りも修行のひとつである。
しばらく引きが来ないと飽きてしまって居眠りをしているわむたんに、精神統一のすべを教えてくれたり、わむたんがその魚を持ち帰ろうとすると、
「その魚にも命があるのだから、食料分を持ち帰るのは良いが無益な殺生はするべきでない。自分が捕まって殺されるさまを想像して見るといい。放してあげなさい。」
と、諭してくれるのである。
「まあ、座りなさい。」
梟導師はそう言うと、温めていた鍋の中の液体をコップに注ぎ始めた。
「これは?」
わむたんがコップを覗き込むと牛乳のような物が入っている。
「うん。その大耳白兎の乳じゃ。」
「黒蜜さとうきびの実も入れてあるから、体があったまるぞい。」
わむたんは、初めて飲む大耳白兎の乳を口に含んだ。
「美味しいー。」
わむたんの口の中にまったりとした甘さが広がった。
「お師匠様、お尋ねしたい事があるのですが・・・」
わむたんは、本題を切り出した。
「このところ魔界のものの活動が激しくなってきているのですが、何故でしょうか?」
「うむ。わしもわむたんに話しておかなければならない事があるのじゃ。」
(お願い:この作品はポプラ社小説大賞応募予定作品につき、作品の模倣、一部の複写等の行為はご容赦ください。☆一部名称等ニフティに帰属する部分は投稿時に変更することとする。☆この作品の著作権はわむたんに帰属します。)