わむたん達は小さな石に変わった梟導師を見た。
「お師匠さま!!!」
わむたんは絶叫した。
わむたんは、梟導師の石化した石を手に取ると話しかけた。
「お師匠さま、まだ教えて頂きたい事がたくさんあります・・・。」
わむたんの声に反応するように石が弱く輝いた。
梟導師の強い霊力でまだ完全に石化していないようだ。
石から小さな声が聞こえた。
「わむたんや。石化の毒を浴びてしまった。」
「どうやら、ここでお別れのようじゃ。」
「・・・立派に育ったのう。もう教える事はない。」
梟導師の死。
お師匠さまとの永遠の別れ。
わむたんの心に悲しみの波が押し寄せた。
「お師匠さま、回復する方法はないのですか?」
わむたんは懇願するかのように尋ねた。
「無い事はないのじゃが、最後の毒というのがあまりにも強烈な毒でわしの霊力を持ってしても耐えられないのじゃ。芯まで石化してしまえば、戻る事は不可能じゃて。もう長くはもたん。」
「お師匠さま、これではどうですか?」
わむたんは胸に下げていた勾玉を手に取った。
「やさかにのまがたま!!!」
わむたんがそう叫ぶと、勾玉から無数の紐状のものが溢れ出て梟導師の石化した石を包んだ。
「おお!すごい!霊力が溢れてくるぞい。」
「これならしばらくはもつじゃろ。」
やさかにのまがたまは、先祖代々伝わる霊験あらたかな石である。
一説によるとムー大陸にあったオリハルコン石とアトランティス大陸にあったツーオイ石の一部ではないかとも考えられている。
わむたんは、嬉しかった。
まだ梟導師が助かる可能性があるのだ。
「お師匠さま、石化を解く方法とはどんなものなのですか?」
「うむ。木花(このはな)城の城下町の魔法薬店のキトなら分かると思うから、訪ねるのじゃ。キトは古くからの知り合いで猫耳族じゃ。」
「分かりました。」
「わしはしばらく眠るとするかの。」
そう言うと梟導師は眠りについた。
(お願い:この作品はポプラ社小説大賞応募予定作品につき、作品の模倣、一部の複写等の行為はご容赦ください。☆一部名称等ニフティに帰属する部分は投稿時に変更することとする。☆この作品の著作権はわむたんに帰属します。)