「バレンタインデーの甘酸っぱい思い出❤」
バレンタインとはほぼ縁のない人生。
その原因はわかってる。
あの日のことがトラウマだから。
あたしは、子供のころ、
男勝りで、男子とも気軽に話せた。
中でも、4年生のときに東京から転校してきた、
F君とは、なんだか気があった。
F君は頭がよくて運動もでき、見た目もなかなかさわやかという、
女子からモテ要素満載の男の子だった。
そしてその日。
あたしはクラスで比較的仲のいい女子に呼ばれた。
彼女たちの用事は、F君にチョコを渡してほしい、ということだった。
彼女たちは思ってもいなかったんだろう、
本とはあたし自身もF君が好きだったなんて。
でもそんなことをいえるキャラでもなかったあたしは、
いいよと、軽く引き受けた。
放課後、校門から出ようとしているF君を、走って追いかけ呼び止めた。
「これ、○○ちゃんと**ちゃんから、チョコ」
顔をまともに見れず、背を向けると、
ずらりと並んだクラスメイト。
あたしがチョコを渡したと冷やかされ、
思わず大声で叫んだ。
「頼まれただけだからっ、あたしは違うからっ」
その日から、F君と口をきいた記憶がない。
あたしの人生、唯一のバレンタインの思い出。