「時計仕掛けのオレンジ」
あまりにも有名な作品なので、私がコメントするのはおこがましいですが、あくまで個人的感想ということで^^
まず、好きか嫌いかというと、この映画、嫌いな映画でしょうね^^ 感情移入できる人は一人も出てこないし、絶対的な善人もいない。
ま、だからこそ現実を切り取っていると言えるんだと思うのですが。
キューブリック監督の映画では、「2001年宇宙の旅」の方が評価は高いのかもしれませんが、個人的にはこっちの方が高評価、というより最高傑作かと思っています。(今回はこう言い切ってしまいます)
ビートルズをはじめとする、様々な人が音楽や芸術のもたらす、平和や愛への貢献(?)についていろいろ発言していると思うんですが、キューブリックはこの作品1本でそれらの幻想を打ち砕いてしまったんじゃないかなって、私は思っています。
確かに制作者の側は、そういう意図があるかもしれない、でも受け取る側の人間が必ずしもそうとは限らない、この映画に出てくるアレックスは、まぎれもなくベートーベンの素晴らしさを十分理解していると感じさせるし、造詣も深いと思わせる。じゃあ彼は善良だろうか?
彼の行動に、良心の葛藤など微塵も感じられないし、平然と他人を傷つけられる。
ああ、でもこういうことは有るって、俺の心の何かが言ってる、否定なんてできなかった。それに、自分の心の中にだってこんな自分がいるかも知れない。
凄く嫌な作品だけど、まさに監督からの鋭い問いかけとして、すごく重いものを感じる作品です。
あ、でもそういう作品だけに、観てねと言ってはいませんので、その点よろしくです。
