魔騎士ベルメルクスは全身を覆う重鎧を着ている。
魔鉱石から作られた重鎧は、敵の攻撃を防ぐ堅い鎧だ。
しかし兜の隙間からのぞく目は魔族らしからぬ優しい光を放っていた。
「お前の噂は聞いているぞ。お前のランス技は魔界一だが、魔族にしては真面目くさっているそうじゃないか。この女はな、俺様の奴隷なんだ。口出しをするんじゃねい!」
「・・・その女に関心は無いが、お前の下手な鞭の音が耳障りなんだ。」
魔騎士ベルメルクスは横を向いて本心を隠すようにつぶやいた。
「お前は奴隷達にこっそり食料をあげたりしてるそうじゃないか。魔族の裏切り者め!聞く所によるとベリアルもベラもスネークコブラもボッチもわむたんとかいう小僧にやられたって話だが、お前もやつらに味方するんじゃねのか?」
「・・・その小僧は俺が倒してやるさ。」
「よし!じゃあ賭けをしようじゃねえか。わむたんとかいう小僧を10分以内に倒せればお前の勝ちでこのニンフの娘をくれてやる。10分以内に倒せなければお前の大切なそのダイヤモンドランスを貰おうじゃないか。そのランスは奴隷100人分の値段で売れる。どうだ?」
「俺はどちらにしろわむたんを倒すから賭けを受けてやるが、俺は汚いやり方は嫌いだ。正々堂々と決闘をする。」
「よし!賭けは成立だ。決闘の場所と時間の設定は俺に任せろ。いいな?」
「分かったが、くれぐれも汚いやり方はするなよ。」
魔騎士ベルメルクスは鳥を抱えて丸くうずくまっているニンフの娘に手を貸し立たせた。
「可愛い小鳥だな。」
「ベルメルクスさま・・・」
ニンフの娘は頬を赤らめた。
(お願い:この作品はポプラ社小説大賞応募予定作品につき、作品の模倣、一部の複写等の行為はご容赦ください。☆一部名称等ニフティに帰属する部分は投稿時に変更することとする。☆この作品の著作権はわむたんに帰属します。)