さて、その「身」よりも「卵」のほうが好んで食されたり重宝されたりする魚がいることは、
皆さんもよくご存知だと思います。
「卵」のみが単独で重宝される場合、その「卵」にはちゃんと名前がついていますよね。
スケトウダラの卵は「タラコ」「明太子」、チョウザメの卵は「キャビア」、ニシンの卵は
「数の子」と挙げればキリがないほど食して美味しい魚の卵は多く、そのほとんどが
今や高級食材となっています。
また、卵を単独で食べるのではなく、卵を抱えた魚を料理することもよくあります。
例えば、子持ちのカレイは家庭でのメニューにもよく登場し、今にもはちきれそうなほど大きな
卵を抱えたカレイの煮付けは見るからに食欲をそそりますし、当然、お酒もすすむ一品です^^
子持ちのイカの美味しさについても語らないわけにはいきません。
ちょうど今の時期はヤリイカの美味しい季節。子持ちのヤリイカの煮付けもこれまた絶品。
また、茹でて、シンプルにマヨネーズと七味でいただいてもとても美味しいです。
そして、私が卵の美味しい魚としてとにかくイチオシしたいのはトビウオです。
トビウオは刺身も美味しく、焼いても美味な魚ですが、卵の美味しさは他の魚の卵と比較しても
群を抜いてます。
トビウオそのものは高級魚ではありません。大衆魚の部類に入り、価格も安価です。
しかし、こと卵となると話は別で、およそ魚の卵につくとは思えないお値段がついています。
ただ値が張るだけのことはあって、その独特の粘りのある食感は一度食したら病み付きになり、
トビウオの産卵期となる春から初夏が近づくと、「ああ、あと少しであの味にありつける」とワクワク
せずにはいられません。
トビウオは九州、山陰地方では「アゴ」と呼ばれ、とてもなじみのある魚です。
そしてその「アゴ」の卵は「アゴの子」と呼ばれ、初夏には欠かせない食の風物詩となっています。
