髭を剃るにも勇気がいります。
私のはヒゲといっても、そんな立派なものじゃなく、無精ヒゲをひと月もかけて放置した結果のもの。
ただ、こういうのでも役に立つのです。
私の場合、髪の毛もそうだけど白くなる進行が早く、ヒゲも半分以上が白ヒゲです。
初めて、白いのを見つけたときは嬉しかった。
私は女顔のために、どうしても貫禄がつかないのです。
過去を振り返るとひどいのになると、外国では女子部屋に案内されたこともあります。
どうにも堪らん!ということは数知れず。
暴れ回して男を主張しても、年中暴れる体力なんかもってもない。
横光利一は家を買うとき友達に頼んだとか。
「ぼくはこんな髪をしとるもんだから若く見られて、地主が信用しないんだ。橋本英吉に頼んでもらうと、禿げ頭だもんだからいっぺんに信用されて、話がまとまった」
当時、一番人気のあった作家でもこれです。
風貌は大事なもんです。
ちなみに橋本英吉は、横光とは逆の立場のプロレタリア作家。もう、残っているものもないでしょうから、あまり知られていません。
髭を剃るということは、また2週間ほどの辛い時期を覚悟しないといけない、ということ。
でも、これから夏に向けて一度さっぱりとします。