シルヒャーワイン街道の中ほど、郡の中でも休暇客が多いのが、バードガムスでありシュタインツです。
私が立ち寄ったのがシュタインツ。
こじんまりした町、なんとか1軒だけあるホテルに泊まり、周辺を徘徊しました。
人懐っこいコーヒー屋の主人に情報を聞き、3日間は散歩の日々でした。SL広場は、駅舎とは思えぬくつろいだ公園。
古い小径を歩いて小高い丘に出れば、由緒あるらしい教会がそびえています。見下ろすと、あちこちに点在するブドウ畑が青々とし、遠くで牛がモーと鳴いています。
しばらく、ここでこの国に慣れようと思ったのです。
インフォマツィオン(INFORMATION)に行き、安い宿舎を探してもらったのですが難儀しました。
短期間ならいいけど、長期では言葉の分からない日本人の面倒は見れないとのことです。
何軒も断られた挙句、シュタインツから村を一つ越えたところにあるマルホフの元村長さんが、
「これから迎えに行く」と言ってくれたのです。
ヨーロッパといっても、ほとんどが中学卒業後に就職です。
そんな中、片田舎にありながら大学まで進学させている家庭だったので、異文化の人間の到来に興味を持ってくれたのだと思います。
「息子は英語とイタリア語が分かるし、娘はフランス語ができる。どんどんしゃべりなさい。日本語は分からんけどね」
「末っ子の今度中学を卒業する娘は文通が趣味で、アメリカ、ブラジル、ロシアに韓国の人と交流してんやで。日本人はおらんけどな」
つっこみどころ満載の挨拶をしてくれるのですが、まあ初の日本人ということで珍しがってくれているのだけは理解できました。
とにかく一か月の宿泊料と朝食代3万円ほどを払い、マルホフでの生活がはじまりました。
朝は馬や牛の餌やりからスタートでした。ミルクを求めてネコがうろうろ。顔いっぱいにミルクをぶっかけてもらい、ニャーコラと可愛かった。朝食がすむと、3歳にも満たない息子夫婦の子供がすりよってきて離れません。子供のゆっくりとした喋り方は、言葉を知らない私にはとてもいい勉強になりました。
昼は近所のガストホフへ行き、近くの公園で寝そべって絵を描いたり、先の旅を思い描いたり・・・
高校を卒業し田舎を離れてから、初めてゆったりとした時間を持てたような気がします。
村の子供を泣かせ、その親が酒をおごってくれたり、道を歩くと、どうせ暇やろうとばかりにグラーツや隣町に連れていってくれたりの毎日です。
翌月には部屋代もただになりました。
ガストホフでの食事も日々安くなるのです。せめてもの村への奉仕と、子供にビールを奢ったり学校でインチキな日本文化を講演するのです。
とは言っても、ドイツ語は難しい。
旅行客となら英語でも喋るが、地元民とはなんとかその言葉でふれあいたいものです。
ヌア ヤパーニッシュ(ジャストジャパニーズ)の私、これからウィーンへ向けて、問題山積です。