女子レスリング58キロ級伊調馨選手への、国民栄誉賞授与が
決定した。レスリング界では先輩の吉田沙保里に次ぐ
二人目の受賞。前人未到の、オリンピック女子個人種目
4連覇の大偉業を讃えたもので、不滅と思われる金字塔に
異論は無いだろう。
第一回の王貞治から数えて、24人目の受賞者となった。
国民栄誉賞の授与は、時の政権の意向で決まる傾向がある。
選考規定に「民間の有識者から意見を伺う」とあるが、
そもそも総理大臣サイドから、候補者としての名前が
挙がらなければ、決定には至らないのだ。
個人的には、この選考基準に対して以前から
モヤモヤ感が拭えない。
何故、あのアニメ界の巨匠「手塚治虫」が国民栄誉賞を
貰えてないのか。今や、ジャパンクールの象徴ともいえる
日本アニメ。その礎を築き上げた第一人者である。
天賦の才によって、「漫画」を「文化」にまで高めた立志伝中の
人物が何故、受賞してないのか。
恐らく、手塚氏の亡くなった1989年の時代背景が
一因かもしれない。
1月に昭和天皇が崩御して、約1ヵ月後に死去した。昭和から
平成へ元号が変わり、国全体が喪に服したかのように、
あらゆる祝い事も自粛ムードに包まれた時代。
声を大にして ”おめでとう” と言える状況ではなかった。
タイミングが悪かった、と片づけるには余りにも
忍びない。今からでも決して遅くないので、今一度、
尊敬してやまない「漫画の神様」に国民栄誉賞を
授けて頂けるよう、切に願うのである。