昨日の朝、あまりにも早く目覚めてしまった。時計を見ると、4時20分。
外はまだ暗い。まだ、起床するには早すぎるので、もう一度寝なきゃと、
目を閉じたが、なかなか眠れない・・・。眠るどころか、益々頭が冴えてきた。
仕方がないのでTVを付けた。ちょうど、始まったばかりの番組は
NHKの「ブレイクスルー」。去年だったか、だいぶ以前に見た覚えがあった。
「"みえない"を見る ―暗闇のスペシャリストたち―」という内容で、
都内の、とある施設。電気を消した真っ暗な部屋の中を、参加者同士が、
互いに声を掛け合いながら、壁や椅子、テーブルなどを触りながら進み、
更に、飲み物や料理を、手の感覚や音を頼りに食事をする90分の
体験イベント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(D・I・D)を紹介していた。
グループ参加が基本で、それぞれ白杖を手に持ち、「アテンド」と呼ばれる
視覚障害者のスタッフが、暗闇内をサポートしながら参加者を先導する。
かなりインパクトのある内容で、前回放送の反響が大きかったようだ。
番組を見逃した人や「もう一度見たい」の声に応えた再放送だった。
1988年、ドイツの哲学博士、アンドレアス・ハイネッケの発案で始まった
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。今や、世界30か国以上に拡がっている。
日本では、NPO法人ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンが渋谷区神宮前の
会場と、関西ではグランフロント大阪「ナレッジキャピタル」内で、積水ハウスとの
共創で「対話のある家」を常設展開している。
番組では、「アテンド」と呼ばれる視覚障害者たちの、「差別や偏見、
先の見えない苦しさに悩みながら、生きる喜びを見い出してきた」のコメントに
胸を打たれた。
研ぎ澄まされた聴覚や嗅覚、繊細な皮膚感覚、鋭い洞察力と判断力が
健常者を遥かに超越した才能である。
彼らにすれば、日常の世界が生きる糧を得る場所になったのだ。
「D・I・D」の文化について、渋谷の施設で働く女性スタッフの感想。
「言葉、コミュニケーション、触れ合い、思いやり、尊重…その大切さを
実感できること」。実に考えさせられる番組だった。