「わむたんさま、お食事にしましょう。ここに来る前にこの森のお隣の街で携帯用食料を買ってきました。寒椿、出して。」
「はい。お嬢様。」
寒椿は、背中に背負っていた布袋からなにやら干物らしきものを取り出すと乙橘に渡した。
「わむたんさま召し上がってください。お隣の街の食料品店のおばさまがとっても栄養があるっておっしゃっていました。」
わむたんは、渡された干物を目の前までつまみあげじろじろと眺めた。
これは・・・
「カエル・・・!?」
「ええ。菜の花蛙の干物だそうです。」
「う・・・」
わむたんはこわごわ干物をひとがじりしてみた。
「あああ・・・」
「どうしました!?」
「ゲロゲロ・・・ゲロゲロ・・・」
わむたんは四つん這いになると、ピョンピョン跳ねだした。
「きゃー!わむたんさま!」
乙橘は青くなった。
「毒が入っていたのかしら!」
わむたんは、乙橘の周りを回りながら笑い出した。
「わむたんさま。ひどい。」
「ご、ごめん・・・。みんなが暗い顔をしてるから笑わせてあげようかと・・・。」
「わむたんさま!お嬢様は純情なお方なのですから、あまりふざけてはいけません!」
「ごめんね。お詫びにわむたんがおまんじゅうをあげる。目をつぶって。」
「こうですか?」
乙橘は、言われるままに目をつぶった。
わむたんは懐から丸い物を取り出すと、乙橘に握らせた。
「おまんじゅうにしては、凄く硬いですけど?」
「見ていいよ。」
わむたんは、いたずらっぽく笑った。
「まあ。これは。」
乙橘の手の平で、ダイヤモンドが輝いている。
「万華鏡ダイヤ。家に昔から伝わる秘宝なの。乙にあげるよ。」
「嬉しい。頂いて良いのですか?」
「うん。」
乙橘は、万華鏡ダイヤを目の前にかざして覗きこんでみた。
「ああ。わむたんさまがたくさん見える。」
(お願い:この作品はポプラ社小説大賞応募予定作品につき、作品の模倣、一部の複写等の行為はご容赦ください。☆一部名称等ニフティに帰属する部分は投稿時に変更することとする。☆この作品の著作権はわむたんに帰属します。)