魔法薬店満月屋と書かれた大きな看板が出ている。
豪華ではないが、おしゃれな造りの二階建ての建物だ。
わむたん達は、小さな窓ガラスの付いた扉を開けて中に入った。
「すいません。」
「はい。いらっしゃい。」
猫耳族の女の人が出て来た。
猫耳族は人間によく似ている。
ただ人間と違うのは全身が毛でおおわれ、人間の耳の代わりに猫の耳が生え、お尻の所からしっぽが出ている。
「あの梟導師の知り合いのキトさんを尋ねて来たのですが。」
「まあ、梟導師のご関係の方々なのですね。キトは私です。」
「僕はわむたんと申します。実はこれを見て頂きたいのですが。」
わむたんは懐から小さな石を取り出してキトに見せた。
「・・・お師匠さまなのです・・・」
「えっ・・・この石が・・・」
「スネークコブラの石化の毒を浴びてしまったのですが、やさかにのまがたまの霊力で完全な石化をまぬがれています。」
「お師匠さまがキトさんなら石化を戻す方法を知っているから向かいなさいと言われたので、お尋ねして来たのですが。」
「・・・可哀想に・・・。」
キトは石を触りながら言った。
「石化を解くには三つの物を調合した薬が必要です。」
「一つめは、深遠の洞窟に咲いている硝酸かずらを搾った液体です。」
「二つめは、木花城の宝物庫にあったとされる星空の石です。」
「三つめは、底なしの沼に住んでいるとされる恐竜亀の甲羅です。」
「三つを集めるのは大変難しいでしょうが、がんばってください。」
「分かりました。一つめの深遠の洞窟はどこら辺にありますか?」
その時、二階から声が響いた。
「お母さん。私が案内するわ。」
若い猫耳族の娘だ。
体中真っ白な毛でとてもチャーミングである。
「チル。大丈夫かい?」
キトは心配そうだ。
「大丈夫よ。あの辺にはよく行ってるから。」
「助かります。お願い出来ますか。」
「ええ。お母さん行ってきます。」
そう言うと、チルは静かに扉を開けた。
(お願い:この作品はポプラ社小説大賞応募予定作品につき、作品の模倣、一部の複写等の行為はご容赦ください。☆一部名称等ニフティに帰属する部分は投稿時に変更することとする。☆この作品の著作権はわむたんに帰属します。)