「あそこが深遠の洞窟の入り口です。」
チルが指差した先に洞窟の穴が開いている。
「クー・・・。」
クーがやっと着いたというような声をあげた。
クーはロロの背中に乗って、ユニコーンのたてがみにしがみついている。
「わむたんさま、まるで人の顔みたいですね。」
乙橘がつぶやいた。
太古の昔に造られたのか、人面岩の口が入り口になっている。
洞窟内は不思議なことに明るい。
「硝酸かずらはこの洞窟の一番奥に咲いています。」
チルは、人面岩の入り口に向かう階段を降りていった。
入り口を抜けると少し大きな空間があり先にまた小さな入り口があった。
「あれは何でしょう?」
乙橘が指差した先に地面と天井に繋がった丸い物が光を放っている。
「あれは地底炉です。各部屋に一つずつあり、あそこから洞窟内の壁面にエネルギーを供給して灯りにしているのです。」
次の入り口を通るとまた広い空間があった。
わむたん達が中央にさしかかった時である。
ガガガーン
いきなり上から何かが落ちてきた。
格子状の物体である。
そして、わむたん達は格子状の牢屋に閉じ込められてしまった。
「チル。うまく誘い込んだね。」
奥の入り口からコック帽のようなものを被った太った男が出てきた。
(お願い:この作品はポプラ社小説大賞応募予定作品につき、作品の模倣、一部の複写等の行為はご容赦ください。☆一部名称等ニフティに帰属する部分は投稿時に変更することとする。☆この作品の著作権はわむたんに帰属します。)